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TM7121Fが事故当該、7121号車が脱線炎上 撮影:Andi氏

すでに一部報道期間が日本でも報道しているようで、ご存知かもしれませんが、昨日12月9日午前10時50分頃、Serpong線PondokRanji~Kebayoran間の踏み切りで、Serpong発TanahAbang行き1131列車が踏み切りを渡りきらずに、停車していた国営石油会社Pertaminaのタンクローリーに衝突しました。現場は緩い右カーブで、視認性が悪く、駅間の踏み切りですから列車の速度も60km程度は出ていたと思われ、車両は横転し、前面は大破。さらにタンクローリーから出火し、近年まれに見る大惨事となりました。車両側では乗務員含む、5人が死亡(その後増えた可能性もあり)しました。この踏切もそうですが、車が横断できる自動踏切にはほぼ必ず踏
切警手用の詰所も設置されているわけで、彼らは一体何をしているのかという疑問も出てくるのですけど。

しかしミニバスなどならまだしも、Pertaminaという大手企業がしかも危険物を積載したタンクローリーが遮断機が降りかけた踏切に強行突破(しかも先が渋滞で進まないというオチでしょう)したというにわかには信じがたい話。トラック運転手に危険物を運搬している意識はあるのかと問いたくなりますね。Pertaminaといっても、どうせ運搬しているのは下請けの、どうしようもない会社がやっているのですから、責任云々も問われず、賠償も出来ずうやむやになって終わりです。いっそのことトラック運転士も爆死してしまえばよかったわけですが、トラック側の乗員は事前に脱出したのか、生存しているようです。とうてい返済能力もへったくれもないわけですが、その身をもって罪を償ってもらいたいものと思います。

しかし、この手の踏切事故は本当にタチが悪い。鉄道会社側になんの落ち度もないわけで、こうして貴重な車両が失われてしまうのには怒りを覚えます。Pertaminaトラックを見たら投石したい気分です。

以下には大破した事故画像も含まれておりますので、見たい方だけどうぞ。

ちょうど、昨夜はいつもお世話になっているAsianRailwayPrazaの井上様と、ジャカルタ某所で夕飯をご一緒する予定でして、待ち合わせまではするに至ったのですが、あの惨事を無視することは出来ないと、距離もさほど離れているわけでもないですので、タクシーをつかまえて、現場に直行した次第。しかし現場には想像を絶する光景が広がっておりました。

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野次馬と警察、軍隊に見守られる中、復旧作業が進行中

タクシー運転手も事故のことは知っており、以外に簡単に到着できました。現場ではちょうど横転した車両を鉄道クレーンによりレールに戻している最中でした。野次馬曰く、ジョコウィ知事も来ているとのことでしたが、既に戻られた後のようでした。明日の新聞内での発言等に注目したいところではあります。

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井上さんに言われるままに視線を向けると、あの方がいらしておりました。

ジョコウィと共に、城南社長の今後の動きも気になるところであります。こういうときこそ、吠えてもらいたいものですね、ホント。しかしPertaminaの石油でKAIの列車も走っているわけで、頭が上がらない?事故車両を前に何を思っているのでしょうか。

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現場は漏れ出した石油で異様な臭いに包まれていました

現場を良く見てみると、衝撃で対向線路の線路もゆがみ、架線中まで煤が付いており、線路際の商店まで一時は火に包まれたようです。事故の大きさがわかります。

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そして線路に戻ったものの、運転台部が完全に潰れた先頭車両・・・

油でぬかるむ地面に足をとられつつも、先頭部へ。しかしその光景を見た瞬間、絶句するしかありません。なんとも表現できぬ悲しみと憎しみが沸きあがったのを覚えています。そのときはただただその場に立ち尽くしか出来ませんでした。そんな中黙々と作業を進めるスタッフの方々には頭が上がりません。救出活動時に一部はカッターで切断されたものと思われますが、それにしても前面は完全に潰れ、運転台は丸焦げです。

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事故を起こした張本人のトラックは線路際に移動されていました

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火災で塗装は剥げ落ち、元の顔がむき出しになった前面がより一層物悲しい

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しかし台枠は生きているようで、BalaiyasaManggaraiまでDjokoTingkirにより牽引されることに

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連結器も生きており、緩急車を介して連結が完了

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しかし客室部は意外にも原型を保っておりました

ただ驚いたのは上記の通り車内がさほど損傷を受けていなかったこと。流石は地下鉄基準の難燃構造。そして前面からの衝撃に、運転台は潰れようとも乗客をしっかり守るのがやはり日本の車両なんだなぁと思いました。そういう意味では7121号車は最後の最後まで職務を全うし、車両生涯を終えたと言ってもよいのかもしれません。1131列車はSerpong始発でかつ、約15分前に先行列車が走っていますから、そこまで車内はさほど混雑していなかったと見え(少なくとも1号車の女性専用車では立ち客はいなかったことでしょう)、その辺でも被害は最小限に抑えられたのではないかと思います。

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妻面側にも衝突・脱線時の衝撃を垣間見ることが出来ます

また以前、都営6000系が列車衝突事故を起こしたときには、妻面側も大きく潰れていましたが、今回は、そこまでの損傷は見られず、台車もとりあえず生きているようですし、幸い7121号車はTc車ですので、もしかしたら、数年後の復帰を夢見ることが出来るかもしれません??

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さよなら7121。わずか3年弱の活躍に幕・・・

この後、7121号車はDjokoTingkirに牽引され、時速約10km程度のゆっくりしたスピードでManggarai工場に収容された様子です。また比較的損傷が少なかった後ろ7両は3駅先のSudimara駅3番線に留置されている模様です。

この事故の影響でSerpong/Banten線はTanahAbang~Merak間全線で運転を見合わせ。本日も午前中は運休を予定しています。その後の運転計画も未定です。ご利用のお客様はご注意下さい。

ともかくも、亡くなられた乗務員・乗客の方々のご冥福を祈ると共に、タンクローリーの無謀運転手に鉄槌が下されることを願うばかりです。そして、もし心ある日本企業様がいらっしゃいましたら、代替車両とまでは言いませんが、来年度以降引き続きの車両調達にご協力願いたいところであります。

【追記】最終的に死者数は7名となり、当時運転台にいた乗務員3名(運転士とアシスタント)は全員死亡、乗客も4名の死亡が確認されました。もう二度とこのような悲惨な事故が起きぬよう、踏切への無謀侵入防止への対策が講じられることを願うばかりです。重ねてのコメントにはなりますが、まずは詰め所の職員を活用して何らかの対策を打ち出していってもらいたいものです。地上設備の早急な整備なんて無理なんですから。

http://app.f.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=91953768&blog_id=1691449
ジャカルタ市長ジョコウィとKAI社長ジョーナンの対談の様子が記事に上がっています。
まあ大方予想通りの発言ですが、環状線高架化が前倒して行われていくのでは?と思われます。また事故現場のアンダーパスによる立体化を行うことも言及されています。







コメント

コメント一覧

    • 2013年12月10日 13:53
    • あきらかに運転手が悪いですね。
      架線中も折れてるようですから全部弁償するべきですね。
      もしかして余った車両は10両編成化に使用されるのでは…
    • 野津田車庫
    • 2013年12月10日 21:15
    • こんばんは。
      日本でも一部民放のニュース番組で報道されており、衝撃を受けました。
      国内でもしばしばトラックの無謀な運転は問題視されますが、今回のインドネシアの一件は最悪の結果を招いてしまいましたね…。
      賠償は無理にしても、死者まで出した以上は事故を起こした張本人と下請け企業には徹底した責任の追及と制裁が下ることを願うばかりです。
    • 丸太
    • 2013年12月10日 21:35
    • まずは亡くなった乗員乗客の冥福を祈ります。
      地上設備に関して言えば、列車無線も軌道回路もない状況では、警手が気づいても発煙筒くらいしか列車に知らせる手段がありません。踏切支障報知装置にしろ踏切障害物検知装置にしろ、通信機能がなければ意味をなさないわけです。このあたりをジョナン社長がどう考えるか、注目です。
      車両に関して言えば、思ったより丈夫だったというのが正直な感想です。もっとも、アルミの加工には専用の設備が必要ですので、復旧はまずないでしょう。損害の少なかった後ろ7両は6127Fのドナーとなるのではないでしょうか。
    • 尾崎俊史
    • 2013年12月10日 23:23
    • こんばんは。
      それにしても派手に衝突しましたけど、そもそもタンクローリーの運転手は閉まりかけた踏み切りに無理に横断したら、事故を起こすとは思わなかったのでしょうか?今後は立体交差化も考えなければならないと思いますが、予算や技術面を考えると簡単には行かないのでしょうか?
    • パクアン急行
    • 2013年12月11日 00:57
    • <名無し様
      あきらかにトラック運転士の過失ですが、運転士に支払い能力が無い以上、泣き寝入りするしかないのが現状ですね。日本も同じ状況だと思いますが。7321,7421が無傷で使用可能状態なら増結用として使えるかもしれませんね。部品取り用にしろ、今後なんらかの形で残った車両は使われるものと思われます。
    • パクアン急行
    • 2013年12月11日 01:04
    • <野津田車庫様
      こんばんは。先日、205系のジャカルタ譲渡が大々的に報道され、注目が集まっていた矢先の衝撃的なニュースですから、やはり日本のマスコミも注目したのではと思います。馬鹿が余計なことを言って今後の譲渡にマイナスに働かなければと思います。
    • パクアン急行
    • 2013年12月11日 01:16
    • <丸太様
      そうですね。しかしほぼ全ての踏み切りに警手がいるのですから、このような車両の無謀な横断を食い止める手立てはあるはずなんですよね。おそらく日本の見よう見まね(もしかしたらMRTにいる日本人アドバイザーが何か口出しをする可能性もありますし)で踏切検知装置などを設置してゆくことになるでしょうが、アナログの国ですから、そんなものを設置するより、今出来るところから取り組んでもらいたいと思います。ただ踏切検知点をさらに手前にするなんてのは逆効果ですから、やめてもらいたいものであります。
      機器は細かいところで6000系と異なりますので、一概には言えませんが、まずは不足しているSIV等からもぎ取りが始まるのでは?と予測します。
    • パクアン急行
    • 2013年12月11日 01:27
    • <尾崎俊史様
      踏切が降りかけてからの無理な横断は日常茶飯事ですので、運転手的には行けると思ったのでしょう。日本で起きる踏切事故とその辺のドライバー心理は同じだと思います。おそらく今回は、踏切の先が信号か何かで渋滞しており、渡りきらなかったのでしょう。
      なおジョーナンとジョコウィが声明を発表しており、とりあえず早急に立体化とフライオーバー/アンダーパス化を推進するとのことです。ジャカルタ市が独自に進める環状線高架化計画が早まる可能性は十分あるでしょう。
    • 丸太
    • 2013年12月11日 20:11
    • 6127Fと7121FのDC-DCコンバータは同一品です。6127Fの主回路は生きているようですから、確実に蘇生できるでしょう。
    • パクアン急行
    • 2013年12月12日 03:31
    • <丸太様
      ご指摘ありがとうございます。7000系はDCDCコンバーターでしたか。KCJは離脱中の6000系用に備品を発注していますが、それは6000系初期型用のSIVのため、6127Fは自力で復旧するしかない状況になっていますので、7000系と互換性があるなら、6127Fが7121Fの意思を引継ぎ、復旧するかもしれませんね。
    • 台鐡武士
    • 2013年12月12日 16:43
    • まずは亡くなれた乗客、乗務員のご冥福をお祈りします。それにしても7000系の難燃性が思わぬ形で証明されましたね。車体後部や車内が原型を留めていたのにはビックリです。
      ところで各車両の床板は歪んでましたか?。もし歪みが酷いと外観は大したことが無くても台枠が逝っている可能性が高く再起は難しいと思います。
    • パクアン急行
    • 2013年12月13日 00:21
    • <台鐡武士様
      コメントありがとうございます。そうですね、日本型車両の底力を見せつけてくれたと思います。
      私が到着したとき、後の8両は既にSudimara駅に引き上げられた後でしたので、知る由はありませんでしたが、少なくとも1号車の車内床もぱっと見、歪みはなかったと思います。真っ暗ですので、雑感ですが。
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