ついに譲渡車から廃車第一号が発生
近日中に205系(横浜線)がDepokに配給されることから、至急空き線を作る必要性が生じ、9月17日終電後、長らくDepok電車区にて休車状態が続いていたJALITAこと8613Fが廃車回送されました。既に103系E20+E27と共に近いうちに廃車回送されるとの話はぼちぼち出ていましたので、心の準備は出来ておりましたが、突然の設定には、驚きを隠せませんでした。復旧の見込みは限りなくゼロに近くなっていたものの、それでもDepok電車区にKCJ第一編成としてのメンツを死守すべく、鎮座し続けてきましたが、ついに、名実共に205系から追われる形で、ジャカルタの地を去る日が来てしまいました。
深夜のManggarai駅に最後の入線
東急8500、計8本のうち、最後投入編成である8613F。2009年唯一の導入編成でもあるこの編成は、PT.KAI DivisiJabotabekから、現体制であるPT.KAI Commuter Jabodetabek(所謂KCJ)への移行後初の導入編成でもあり、これまでのKAIカラーとは一線を画す真っ赤なデザインで、同年5月19日鮮烈なデビューを果たしました。まさにジャカルタ大都市圏の鉄道に新時代を感じさせたもので、メトロ車勢が導入されてもなお、KCJのフラッグシップトレインとして、君臨し続けてきました。が、何たる皮肉か、譲渡車両群から初の廃車当該に。
逆に先にManggaraiまで事実上の廃車回送が実施されていた103系E20+E27は、この疎開が実施されていたことにより、第一号から免れる形になりました。
ともあれ、これも一つの時代の終わりなのかもしれません。一時は最大勢力を誇った東急8000系列にも、じわりじわりと陰りが見えつつある今日この頃。部品取りさえ進んでいなければ、日本の技術で復旧は必ずしも難しくなかったはずの8613F。引き続き、8000系列は現役を続投する予定ではありますが、今の上層部の考えからしたら、今更新規部品を購入してまで延命を図るというのはありえないでしょうから、状態の悪い編成から新たな生贄が発生し、JALITAと同じ運命を辿る編成がいずれ出現します。本格的な共食いの時代の到来です。
なお、今回の施行より、Purwakartaの廃車処理が進んでおらず、許容量に達していることから、行き先がCikaum(現在旅客列車の停車はなし)に変更になっています。
ハイビームのまま、まさかのManggarai通過でして、かなりレタッチしております・・・
8613号を先頭にゆっくりしたスピードで目の前を通過してゆきます
Rheostaticの廃回と同じく、中間に控車を連結
後ろ中央林間寄りの4両
今回は異例のプッシュプル運転。後方はDjokoTingkirがエスコート
闇の中に消えてゆく、JALITA。名残惜しむように環状線を1周した後、最終目的地を目指します。
わずか5年前にPasosoから8613Fを牽引したであろうDjokoTingkirが死神役に・・・
2009年のデビュー後、しばらくは順調に稼動していた8613F、しかし2010年終わりごろから、徐々に稼働率が落ちていったように記憶しております。そして、確か2011年の検査期限を待たずして、Depok入場。この頃からJALITAはヤバイのではないかと、地元鉄道ファンから聞いたりしていましたが、2011年6月には装いも新たにDepok出場。しかしながら、この後が問題で、2011年末頃には運用落ち。以来、一度も運用に就くことなく、今日を迎えてしまいました。
デビューしてまだ間もない頃。懐かしい旧塗装。(2009年)
Bogor駅にて、E20と並ぶ・・・(2010年)
しばらく留置された後、いよいよ検査が始まったと聞き、橋の上からウォッチング(2011年)
しょうもない画像で恐縮ですが、新塗装後の画像が限りなく少ないです・・・(2011年)
確かに日本での現役時代から、8613Fは状態が良くなかったという話を耳にしますが、それにしてもたった5年で廃車というのは、終生幸薄な車両だったのだと思います。短い間でしたが、活躍お疲れ様でした。Selamat Jalan 8613F“JALITA”。結局、JALITAってどういう意味だったのだろう。真相は闇の中に。
おまけ
廃車回送を待っていると、環状線から当駅止、BukitDuri入庫で8607Fが入線。先日、出場試運転を実施し、すぐに運用入りしています。お知らせしている通り、初の冷房換装の対象編成となっています。こうして、検査をしっかり通過してゆく編成もある中、方や廃車というのはやっぱり寂しいものがありました・・・。
停車中の8607F。検査明けでピカピカ。
注目の換装冷房ですが、見た目は特に変わらず・・・
気になる、冷房は外からの形状では判別つかず。最大の懸案であろう熱交換器の更新はどうも行われていないようで、以前の都営6271F,6281Fと同様に、テンダーの通り、コンプレッサーなどしか交換していないのかもしれません。網から見える、熱交換器は痛んでいるものはそのままでしたし・・・。しかし画像のように一見新品(?)のようなものも紛れており、もしかしたら、JALITAの忘れ形見なのかもしれません。
コメント
コメント一覧
嗚呼……8613F、やはり廃車回送されてしまったのですね……。
実はマディウン行きで、機器を全面換装してジャカルタに戻って来るものであると願いたいのですが、それも儚い夢。
インドネシアに持ってくるとき、中間2両を廃車にして部品を取った経緯もありますから、これも仕方がないのでしょう。
8613Fは本当に不運な編成だったと思いますが、ジャカルタでとんでもなく歌舞伎な雰囲気に化けた日々は、ファンの心の中で永遠でしょう。
8613F、本当にお疲れ様でした……。
少なくとも、205系の譲渡が終わったらまた東急車を貰おうという考えは無いみたいですね。
以前から危惧されていた事が、遂に現実になってしまいましたか…。JALITAの装いになってデビューした時は長い活躍が期待出来ると思っていたのですが、こんなに早く廃車になってしまうとは本当に不運という他ありません。
8500系の廃車が停止して、205系の大量投入が決定した以上は今更延命や新規部品の購入など望めないでしょうが、他の編成も東急車に限らず最低限の修繕で使い捨てる方向に舵を切らないか心配になりますね。
多忙につき、返信が遅くなりまして申し訳ございませんでした。また真に恐縮ですが、皆様への一斉返信とさせていただきます。
国内では現役バリバリで本線をかっ飛ばしている8500系が早々に離脱とは、ただただ残念な話です。故障したときに、すぐに部品発注を行えば、まだなんとかなったのでしょうが、そこがKCJの悪しき体質。現場の判断では部品の一つを買うことも出来ません。さらに煩雑な手続きを踏んだとしても、最終的には納入業者を落札せねばならず、今欲しい部品が手に入る保証はどこにもないのです。階級主義的な社会体制を打破しない限り、この状況は続くでしょう。ですから、JRのようなイニシアチブを取れる会社が、一旦KCJの組織を解体するくらいの勢いで改革してくれるのを待つしかありません。しかしながら、KCJとてオレ様気取りの会社ですから、言うことなんて聞くわけもなく、そこが難しいところなんですが。