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E217なんて撮ったことないぞ・・・
撮影:ただのよっぱらい様
たまたま某駅にいらっしゃるとのことで撮ってもらいました・・・

前回の続きです。 まだ①を読んでいない方はそちらからお読みください。
本当にE217系はインドネシアに渡るのか?①車両限界測定試験実施

さて、ご承知の通りインドネシア政府は2020年以降(契約分)の中古車両導入を(表向きには)認めていません。それに呼応するように2018年3月にはKCIが公式WEB上に「新型電車導入に関わるコンサルタント業務」の入札を公示しました。これには中国、韓国が興味を示し、実際にKCI本社に訪れていたという話もあります。が、そう簡単に事は運びませんでした。国営企業グループの一企業たるKCIが他国から車両を購入するなどまかり通らんとばかりに、リニスマルノ自慢の偽りの愛国精神で国営企業省はINKA車両の導入をKCIに迫ったと言われています。しかも、リニのオバちゃん?が提案したその新型車両がこれまたトンでも車両だったのです。

 そう、その新型車両こそが“痛勤地獄をゼロにすること”を謳ったオール2階建て通勤電車だったのです。お前は小●ゆり子かよ!!

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2階建て車両で満員電車はゼロに出来るんです!!
※画像はイメージです

この提案にKCIは失笑。乗車率200%の通勤路線、朝ラッシュは中央線ばりの3分間隔運転を行っているところに2ドア2階建て車を入れたら、もはやダイヤが崩壊するのは誰でもわかります。KCIに必要なのはダブルデッカーではなく、座席なしのオール6ドア車なんですから!!それがわからないのが、リニであり、ブディカルヤと言ったお馬鹿軍団なのです。結局、INKAが高速特急気動車を製造することになり、そもそも二階建て製造の技術も怪しく、KCI向けの二階建て車の製造は一旦立ち消えに(ただ公式に出していたことを考えるとかなり本気だったのだと思います)。しかし、この裏では新車導入を求める政府とKCIの駆け引きは続いていたのです。

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TJの運行するRoyal Trans

オール2階建ては無理にしても、日本と同じく“課金して快適通勤”というのはジャカルタでも近年スタンダードになりつつあります。既にバスウェイ、trans jakartaがRoyal Transのブランド(座席定員制のリクライニングシート車)で郊外と市内を結ぶ路線を開設し好評を博している他、運輸省主導でアパートメントとオフィスを直結する通勤バス(観光タイプ車を使用)Jakarta Residense Connection(JR Connection)も多くの路線が設定されています。既存のバス会社もtrans jabodetabek premiumの名称で、リクライニングシート車を次々導入しています。

屋根上乗車こそ消えたものの、ジャカルタの通勤ラッシュは酷いもので、こういう部分は何でも隠したがるのがインドネシアの役人です。上のバスの例にしても、輸送機関のプレミアム化は政府やジャカルタ市の意向も大きく関わっています。KCIにもそのような圧力がかかっているのは容易に想像でき、だからこそ2階建てを入れろなどという無理な要求をされているのでしょうけど、KCIはそんなもん自前で出来るわ!!と、その直後これはこれで驚きの提案を行うのです。

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なんじゃこりゃ~!!
KCIの入札資料より

それが、このKRL Premium。既存の4ドア車の中扉を封鎖しそこにボックス席を設置するという、これはこれでトンでもないものだったのですが、あくまでも試験的要素を含んでいたことに間違いはありません。過去のオール女性専用列車のように、不評なら座席を撤去してすぐに一般車に戻せるようにしていたというのは容易に想像が付きます。このKRL Premium、実はKCIでは久々に通過運転を行うことが計画されており、まさに通勤ライナーの如く運用されることが期待されていました(L/Cカーの導入も視野に入れていたのか??)。2018年11月には座席調達に関わる入札も公示され、実際に試験座席がDepok電車区に搬入されているのも目撃されています。が、なんと一か月後の12月にはKRL Premiumの白紙撤回がリリースされます。

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8連の余剰メトロ車を試用するのかと思いきや10連を改造する予定だった模様
座席定員の30%は立ち席を認めるというのはEkonomi Lokalの規定を持ち込んでいますね
KCIの入札資料より

その理由としては、乗客団体からの反対が第一に掲げられています。ただでさえ混雑しているところにライナーなんて走らすな!!ということです。そのほか運行ダイヤその他、全般的に考慮した結果だとしています。ちなみにKRL Premiumの予定されていた運賃はRp.20000でこの値段(距離を考えたらMRTJより安い!!)なら連日満席の大盛況だったことでしょう。政府指導により異常なまでに安く抑えられた現状の普通運賃で自立運営など出来ません。ですから、親会社のKAIを含め、各列車のエグゼクティブ化を進めているわけで、実はこれこそが鉄道会社も利用者もWin Winの関係になれる秘策なのですが、入札までしておきながら、撤回とは何事か。一部の乗客団体が反対するだけで、踵を返すとは今のKAI、KCIのやり方を見ればあまり考えられません。そもそもKCIは日本の鉄道トレンドを本当によく知っていて、毎月の京葉出張(笑)で、グリーン車や通勤ライナーを実際に観察しており、インドネシアにも導入したいという強い意向を持っていました。

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伊豆急8000並みに窮屈なボックス席になりそう・・・
KCIの入札書類より

ですから、この一連のドタバタはなんだか国営企業省からの圧力を回避するための自作自演のような気がしてならないのです。そして、最終的には政府の不必要な経営介入を阻止するために、政府補助金を受け取らない(又は減額)という大胆な策に出ました。しかし、現状の運賃で補助金なしでの経営など果たして出来るのかと心配になりますが、その穴を埋めるのが広告収入であり、プレミアムカー料金の徴収なのです。

かつて、特例的な中古車導入の条件としてステンレス製(又はアルミ製)であることが必須とされました。しかし、今やINKAが自前でステンレス車を建前上は出来るようになりました(実際は丸々側を輸入して組み立てているだけですが)。自前で出来るものは自分で作るというのがインドネシア政府の方針です。つまり、だからこそのダブルデッカーなのではと私は考えています。政府へ説明する最後の切り札がサロ217になるのではないでしょうか。こう考えると色々辻褄が合ってきます。政府は政府でCommuterのさらなる延伸、Rangkas Bitung~Serang、Cikarang~Karawang~Cikampek、さらにはSukabumi方面までも構想されています。さすがに205系で3時間の長丁場は無理・・・。そう考えると、E217系はKCIにとって、またとない出物になるわけです。実際に昨年にはKCI、KAI関係者、さらには商業省の職員までもが日本に赴き、実車を見学しているのが確認されています。あくまでもKCIの意向の範疇からは出ないものの、今回も特例的にE217系がインドネシアに渡る可能性というのはゼロではないというのがわかるのではないかと思います。

ただ、仮に政府から許可が出たとしても、E電世代の華奢な車体、かつ近郊型の4M7T・・・課題は山積です。この加速度では運輸省試験を通りません。90年代設計の車両だけあって、システムのデジタル化が進んでいるのの、なんとかジャカルタでも走れるのではとも言われており、その辺は心配する必要ないとは思います(そもそも走れないのであればJREが待ったをかけているはずです)が・・・。もちろんKCIは有効長最大の12両運転を要求するでしょうから、日本側での組み替えも必要になってきます(今回ばかりは協力してくれるのでしょうか??)。そのときに6M6Tに組み替え、若干の手直しをすれば何とかなるのではないかとも思います。特に外板の歪みが酷い川重製の編成は除外するなどすれば、なんとかギリギリクリア出来るのではないかぁというのが私の勝手な予想です。

もっともこの試運転がINKA製の二階建て車導入前の試験の可能性も無きにしもあらず。あくまでも、近い将来“新形式車”の導入が計画されているということで、続報を気長に待つことにしましょう。

鉄道コム

コメント

コメント一覧

    • 野津田車庫
    • 2020年01月13日 22:02
    • こんばんは。

      最初にE217系の件をTwitterで見かけた時はギョッとしましたが、この記事を読んで非常に納得出来ました。
      東急8500系も廃車が進行していますが、部品の枯渇が深刻なようですし、VVVFで一定期間に大量の廃車が発生するE217が行く方が合理的ではありますね。
      その際は輸出前に不要なサハ3両の処分や加速性能の変更など、JR東側での調整も必要になりますが・・・。

    • パクアン急行
    • 2020年01月14日 03:32
    • >野津田車庫様
      東急8500、メトロ7000、8000と売り込みがあった模様ですが、結局政府方針により曖昧な回答しか出来ず流れそうな予感ですので、今回具体的な動きに出ているということはKCIとしても突破口を見つけたものと考えています。中古車が引き続き入る可能性があるというだけでも、プラスにとらえるべきでしょう。ジャカルタでもVVVF車が当たり前になった今、東急8500は古すぎるという印象です。おっしゃる通り、国内ですら部品が枯渇し、地方私鉄同士での奪い合いになっている状況ですので、継続的な運行を目指すにはちょっと難しいかもしれませんね。E217は曲がりなりにも機器更新を行い、更新前と比べればマトモな車両になっていますので、ベコベコの車体はともあれ、とりあえず走ることは出来るのではないでしょうか。
    • MOGUPON
    • 2020年01月14日 22:50
    • E217系をインドネシアで走らせるとすると、12両編成化どどうやるかが問題になってきますよね。
      11両固定編成が基本とした機器構造になっており、連結器も棒連結器が多用されていますから、205系のようにそのまま組み替えるわけにはいかないですからね…。

      過去E217系が組み替えられたことは2回で、1回は有名な東海道本線転用で、10号車を基本編成から外していますが、この時も引き通しの変更などを伴っていますし、そもそもセミクロスシートの10号車をはずして付属編成に組み入れるという作業自体、「こうするしかなかったんだ」という叫びが聞こえてきます。
      もう1回、1号車トイレを洋式化した時に、今までの1号車を増結1号車にして、申請された1号車に組み替える作業をしていますが、この時は改造は特になかったようです。

      あとグリーン車のsuica対応工事時に、グリーン車の工場入場後にそれ以外の車両が鎌倉に戻っていますが、この時、6・7号車も工場に置いていって7両編成になっています。改造に関係ない車両も置き去りにしたあたり、「こうするしか(以下略
    • パクアン急行
    • 2020年01月15日 00:52
    • >MOGUPON様
      棒連結器の件は確かに問題ですね。すっかり忘れていました。編成表をこちらに運んでいないもので・・・、何号車だったでしょうかね。何とかなるような気もしますけど。
    • 快速エアポート成田
    • 2020年01月16日 19:15
    • 譲渡が実現するとしたらダブルデッカーを抜いた基本8両+付属4両の計12両で運用するような気がします。
    • パクアン急行
    • 2020年01月17日 00:21
    • >快速エアポート成田様
      普通車オンリーの12両ならば話は早いのですけどね。しかし、ダブルデッカー組み込みが前提条件になってしまっているため、それが無理となればこの話は流れるかもしれません。
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