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ようやく本来の電車ホームの供用が開始されたチカラン駅

5月20日、コロナの渦中のさなか、ブカシ線チカラン駅の電車ホームが供用を開始しています。2017年10月8日のブカシ線チカラン駅電化開業以来、工事遅れの影響で列車線を暫定電化&ホーム高床化を実施の上、電車の入線に対応していたチカラン駅ですが、ようやく本来の姿に近づきました。とはいえ、引き続きの暫定供用であり、本開業まではまだ長い道のりです。2001年12月の円借款供与からもはや20年弱のプロジェクトですが、一向に完成の目途は経っていません(供与期間超過の為、2017年10月の完成部分以外の建設・予算はインドネシア側に移管されています)。

先日、ジャカルタ~バンドン間の中国高速鉄道の建設遅れを今更指摘する記事(ただのPV稼ぎだろ)が上がって、予定通り?ネトウヨの皆さんにより炎上していましたが、たかだか10㎞ちょっとの在来線の電化に20年もかけているJ●CAこそ、どんだけ無能なの?と思いますよね。取りまとめ役の交渉力、調整力の欠如と言う他なりません。小田急の複々線化じゃあるまいし。

さて、大規模な社会制限下ではあるものの、結局多くの人が帰省(帰省を事実上許可したブディカルヤはどう責任を取るの?)し、レバラン後にはコロナ感染者が1日1000人超を記録するなど爆発的感染拡大を続けていますが、結局各駅での許可証チェックも自然消滅してしまい、問題なく越境出来ることがわかりましたので、レバラン明けにチカランウォッチングしてきました。5月20日にブカシ沿線の現地鉄たちが、さっそく画像を上げており、記念ボード的なものが出ていましたので、撤去される前に見てこようというものです。コロナがなければ、ブディカルヤ出席のもと式典が行われていたのでしょう。もちろん、今の状況下では実施出来るわけもなく、ボードだけが祝賀ムードを醸し出しています。

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今回の完成部分は円借款対象ではないので、JICAマークはありません

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しかし外出自粛というのに相変わらず混んでいますねぇ
家族連れ多すぎ!!

おそらく地元ではそこそこ報じられているのでしょうから、新しく駅が出来たと勘違いしている人も多いのか、チカラン行きの電車は大混雑。しかし、この駅舎自体は2017年10月から供用を開始しています。さらに言ってしまえば、ホームも完成していましたが、電車が入線しなかったのです。アホすぎますよね、J●CA。どんな状況か想像が付かないという方は以下のリンクからどうぞ。



開業初日の乗車レポはこちらから



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プロジェクトXばりの?これまでの線路切り替えの様子を紹介しています


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ちょっとした写真展ですね
そして、改札脇には謎のフォトブースがありました

運輸省のチカラン電化にかける気合の入れようがわかりますし、そりゃチカランから都心まで電車で1本で結ばれれば、便利なことこの上ないのですが、あくまでも10分毎の運転が実施されればの話。現状の毎時1本では全く使い物にならないわけで・・・。今回、電車用ホームの供用が開始されたものの、運行本数増加への抜本的対策にはなっていません。記念ボードと合わせて、引き続き増発できない理由を探ってみました。

理由1
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3・4番線は閉鎖

5月19日まで、改札を入った旅客は3・4番ホームを経由し暫定ホームへ進んでいました。それが今回閉鎖されています。電車は1・2番ホームのみを使って折り返すことになります。

理由2
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電車ホームが暫定本線になっている!!
下り貨物列車が通過

これが一番の衝撃でしたね。1~4番線は電車専用であり、チカンペック方では本線に繋がらず、留置線にそのまま入る設計だったはず・・・。それが、まさかの列車が通過します放送が流れビックリ。従来の列車線側の駅舎建設の工期短縮のための処置でしょう。ですから、電車線の行き止まりホームが暫定本線になっているのです。つまり、電車は引き続き1番線1線のみでの折り返しとなるわけです。

理由3
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留置線は未完成

では、そのチカンペック方を見てみましょう。このように3・4番線の信号機は使用中止となっています。暫定上り本線になっているため下り列車の進入は出来ないのです。問題は1・2番線が留置線にも繋がっているかということなのですが・・・。

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ズーム

上りの3番線と旧列車ホームへの分岐部ですが、分岐器は設置せずに旧本線への線路は撤去され、完全に3番線が本線となっています。2番線側からはカーブしており、駅からは見れなかったのですが、降りても次の電車まで1時間半も開くことから今回は断念。定期長距離列車の運行が再開されたら、車内から観察してみたいと思います。

とりあえず先日の前面展望から(昨年末の様子)
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資材が置いてあるところが3番線の終端
現在はここが上り本線と直接つながっている

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2番線から延びる線路はよく見ると留置線方向と本線に合流する分岐がありますね

この正面の架線柱が暫定ではなく本設置になっていますので、最大のネックとなっていた右わきの謎の森部分の用地取得はこれ以上は行わないものと思われます。となると、3番線はここで本来は3番線と合流し、留置線に方向に流すしかなさそうですね。

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そして、この踏切も大問題

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こちらは既出画像ですが、留置線部分

今回KCIではこれに伴う運用変更は行っていませんので、たとえ線路が繋がっていたとしても、チカラン留置線は供用を開始していないことになります。どうも、元の計画では変電設備も合わせて設置する予定があるようで、確かに駅終端部分にはそれを匂わせる送受電用の架線柱とエアセクションマーク?が設置されています。これこそが、2017年時点で電車ホームが使えなかった最大の理由らしいのですが、結局今回も変電小屋の姿は確認できず。建設予定地はどこ?もっとも、ブカシまでの複々線化が完成しないことには、線路容量が厳しいということもありますので、留置線部分はとりあえずチャクン~ブカシの複々線化が完成するまでは塩漬けになるのかもしれませんね。

ちなみに、ボトルネックとなっていたクランジ付近ですが
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突如、住宅の撤去が行われました

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街路灯があるあたりに盛り土して、もう1線敷設することになります

沿道を道路1本分ずらすために、支障する住宅を“削って”います。巨大カッターで切られたようになっていて、可笑しいです・・・。

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雑草が刈り取られたチャクン方面
フライオーバー下が資材搬入口に

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大量のバラスト

なお、こちらの動きもブカシ駅の改良工事開始と呼応するように始まっており、こちらはブカシ駅の改良と合わせて完成することになるでしょう。あと、2~3年?それともブカシ手前で無理やり合流させる??

ブカシ駅の着工状況と完成予想図はこちらから


ブカシ複々線化が先か、チカラン電留線が先か、そんな感じになってきましたね。いずれにせよ、20年越しの大遅延プロジェクトになった「ジャワ幹線鉄道電化・複々線化事業(第1期)」果たして全面開業はいつになるのでしょうか。

それにしても、この円借款事業は非常に不可解です。最大の問題は、インドネシアの自己予算と技術でクリアできるものを、あえて円借款で実施しようとしている点。これは完全に日本側のエゴであり、わざとインドネシア側が円借款供与期限超過を理由に借款打ち切りを計算していたのではないかと思うほどです。特に現ジョコウィ政権は借款に対して非常に後ろ向きであり、現政権樹立後の国内の大規模インフラプロジェクトは鉄道複線化、休止線のリハビリ、空港線新線建設などを含め、基本的に国家予算と国営建設会社各社によって進めています(地下工事を含むMRTが例外中の例外)。「ジャワ幹線鉄道電化・複々線化事業」はユドヨノ政権化によって採択され、2012年にようやく日本側の施工業者が選定されたものの、用地未取得等を理由に大幅な遅延を繰り返してきました。結局、ジャティネガラ~チャクン間ですら円借款プロジェクトとしての完成は見ず、ジャティネガラ~マンガライ間は別プロジェクトで進められることになり、100%インドネシアの案件で、施工は国営建設会社ですが、設計コンサルはおそらく中国企業。この区間の資材はほとんどが中国製が採用されていますし、マンガライ駅の設計が見るからに中国です。

しかも、2017年10月の円借款プロジェクトの完成としてのチカラン電化開業以来、複々線部分の用地買収が一気に進み、2019年4月12日にジャティネガラ~チャクンの複々線化が完成しています。本来ならば、これも円借款として建設されるはずだったのですが・・・。


ジャティネガラ駅の暫定配線は解消しているため、現在列車詰まりによる遅延は発生していません

しばしばインドネシアでは土地の強制収容が出来ないと言われていますが、あまりやらないだけで、強制収容自体は可能です。MRTJで最後まで地権者がゴネていたハジナウィやブロックAのところも、最後は開業直前に強制買収でしょう。ですから、余計な借金をしたくないインドネシア政府は、わざと土地収用を行わずに遅れを発生させ、円借款を終了したのではないかと見て取れるのです。しかも、ジャティネガラ~マンガライ間なんて、もはや気宇壮大過ぎたJ●CA案の実現可能性に乏しく、プロジェクトを打ち切られているわけで、結果的に中国式の駅が建設されているわけです(J●CAコンサルが馬鹿すぎて中国に助けを求めた?)。

やれインドネシアが、やれ中国がと騒ぎ立てる前に、日本の政府機関、独立行政法人が真っ当な仕事をしているのか、よく考えましょう。ジャカルタにはJ●CAだけでなく、Jから始まる謎の組織が山ほどあります。もっとも、ジョコウィが親中ズブズブなのは確かですが、これもリニが消えたことで、多少は軌道修正されるでしょう。先のジャカルタ~バンドン中国高速鉄道の件もこの一環です。何もギャーギャー言うほどのことでもない。批判すべきは、おいそれと金を出そうとする馬鹿な日本政府、外務省に対してです。141駐イ大使はニコニコ昼飯なんて食ってインスタに上げてないで、もっと毅然とした態度を取るべきです。もっとインシツ映えしなければならないのでは??

仮に高速鉄道案件を日本が取っていたとしても、「ジャワ幹線鉄道電化・複々線化事業」と同じく悲惨な末路を辿ったのは明らか。トンネルも高架線もインドネシアの技術で十分作れるわけで、何もお手伝いする必要などなし。高速車両もINKAで自称作れると言っているわけですから、必要なパーツだけ民間企業が納めればいいだけ。極論から言えば、インドネシアへの技術協力、資金協力は既に終了すべき段階に来ているということです。強いて言うなら、ATS-Pを無償援助で入れてくれ、くらいですかね。あとは民間に任せましょう。

ブカシ~チカラン間の酷い有様(タンブン駅上りは引き続き屋根なし炎天下、超絶危険なミニホームです)を見るたびに、日本の円借款プロジェクトの汚さを見せられ、非常に嫌な気分になりますね!!

鉄道コム

コメント

コメント一覧

    • いずみ中央
    • 2020年06月04日 23:15
    • こんにちは、何時も拝見しております。

      ジョコウィ大統領は何をしたいのでしょうか。
      日本が計画中のジャカルタ~スラバヤ特急専用線計画を中止して、中国が建設中のジャカルタ~バンドン高速鉄道をスラバヤ迄延伸させるそうです。その延伸工事を日本に発注したいと考えているんですね。
      既に中国が建設中なのに、何故延伸工事を日本に発注するのでしょうか。
      そもそも、高速鉄道走らせる様な需要は有るんでしょうか。
    • パクアン急行
    • 2020年06月05日 02:22
    • >いずみ中央様
      例の記事は恣意に富みすぎているので、あまり鵜呑みにしない方が良いでしょう。バンドン~スラバヤ間の延長は日本がFSをやっていた頃から存在していました。しかも、チルボン~スラバヤ間は北本線と並行するため、当然これを着工するのであれば、北本線高速化は必要なくなります。問題は日本が中国への腹いせで北本線高速化とうワケのわからんプロジェクトをインドネシアに提案したことです。いずれ、高速鉄道と干渉するのは明らかだったはずです。中途半端な在来線高速化ならば、高速鉄道に一票と私は考えています。

      もう一つはコロナの影響があまりにも甚大過ぎることです。ジャカルタ~バンドン間の建設は国営企業グループからの予算捻出で建設しているわけですが、KAIを含め国営企業グループ各社が現在壊滅的な経営危機に陥っており、高速鉄道事業からの撤退をせざるを得なくなっているということです。中国企業も今更増資などしないでしょうから、もはや泣きつく先は日本しかなく、バンドン~スラバヤの延長部分という名目で、金を引き出すつもりなのでしょう。幸い、規格は日本と同じですから、運行に支障はないわけですし、区間によって金の出所が違うと言うのはよくある話で、別に感情論を抜きにすれば、あり得ない話ではないのではと思いますけどね。とはいえ、これで日本が金を出すと言ったら、本当に大バカ者ですけどね。
    • いずみ中央
    • 2020年06月05日 19:09
    • ご回答ありがとうございます。

      単線非電化スラブ軌道の線路を態態新設して、電気式気動車を160km/hで走らせるなんて計画、不経済ですね。
      そんな物作るなら、在来線の踏切を全廃して120km/hで全力疾走した方が経済的です。

      高速鉄道は中国が建設中ですが、地下鉄東西線、南北線南方延伸は日本が受注出来る様に官民上げて注力して貰いたいですね。
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