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オレンジのシートに包まれ再びのジャカルタを目指す
撮影:Angin Elandajagat様

6月21日、INKAマディウン工場でリニューアル工事を受けていたKFW(Iー9000)第1編成がMadiun~Jatinegara間で甲種回送されました。ドイツ復興金融公庫の助成により、2011年~2012年にかけて製造され、2013年2月19日からタンゲラン線で運用を開始(その後ブカシ線以外の各線に運用区間を拡大)していましたが、2019年3月下旬までに全ての運用を終了しています。また、運用を離脱した車両から順次INKAへ返却されているのも、こちらで適時アップしてきた通りです。


KFWデビュー当時の貴重な?風景はこちらからどうぞ


そのうち、今回ジャカルタへ凱旋した第1編成は2014年のKFW一斉休車以上、営業に投入されていない前期離脱組で、2015年10月18日終電後にトップバッターでマディウンに返却されている編成です。あれから5年・・・再び八目鰻がジャカルタに戻ってきました。


マンガライに24Hのセブンイレブンがあった頃・・・

INKA工場に返却するくらいですから、さすがに何らかの形で復活するとは思っていましたが(同じく返却されたHolecやHyundaiも一度は蘇っていますからね)、5年のブランクは長かったですね・・・。上の記事内で触れていますが、当時ジョグジャの電化計画は電化方式が異なったため、KFWの転用は不可能でした。しかし、ジャカルタと同じ直流1500Vに変更されたため、KFWは電車としてそのまま蘇ることが出来たわけです。電化計画は運輸省の下で進められており、宙ぶらりんとなったKFWの再就職先候補として1500Vに変更されたという可能性が高いような気がします。計画変更がなければ、とうにジョグジャ電化は完成しているはずで、裏で色々と駆け引きがあり、この5年という歳月を生み出したのでしょう。逆説的ですが、KFWがマトモに動かなかったおかげでジョグジャが1500Vになり、日本車が走る下地が出来たと考えれば、これはこれで悪い話ではないのではと思います。

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今週の中部ジャワはネタがいっぱいですね(笑)
撮影:Angin Elandajagat様

なお、よく誤解されがちですのでもう一度書いておきますが、KFWが早期に離脱した要因は、車両が悪いわけではなく、メーカーと運輸省、鉄道会社の複雑な関係性であるということです。KFWはKCIの所有物ではなく、運輸省の所有物です。ですので、KFW開発にあたっては使用者である鉄道会社(KCI)は全く関わっていません。もっとも運輸省は鉄道に関するノウハウなど持っていないわけで、簡単に言えばINKAが独自に開発して、それを運輸省が鉄道会社に押し付けているという形です。INKA車両の評判が悪いのはこの不思議な仕組みが昔からあるからで、KAIが独自にINKAに発注している空港特急が問題なく走るのは、間に運輸省を挟んでいないからです。逆に間に運輸省が入ると、HolecやHITACHI、それにKRLIなど、ロクでもない車両が出来上がるわけです。しかも、運輸省が保有しているのでKCIは他人様の所有物にメンテナンスなどしたくないし、そもそもスペアパーツが出回っていないのです。諸悪の根源は運輸省であり、本来メンテナンスなど含めた全ての責任は運輸省にあるはずなのに、それを怠っていることが、いつも悲劇を生み出すのです。KAIは既に形式上は民営化されているため、運輸省は経営に口を出すべきではありませんが、政治家の利権で、未だに介入し続けてくるというのが実態です。もちろんジョーナン運輸相時代にKAIとの関係性は当然良かったわけですが、わずか数年でしたからね。今のコテコテ官僚のブディカルヤに何を言っても無駄というもの。

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諸般の事情でKAIに引き渡されていない運輸省保有のCipinang機関区に暫定留置
運輸省の馬鹿設計と中国製品の多様でKAIはプンプンのようです

なお、ジャカルタ到着は夜だった為、当方は翌日に留置場所のCipinang機関区を車内から観察してみました。残念ながら車両は引き続きブルーシートの中・・・。本来であればデポック電車区に搬入されるはずですが、既に許容量が100%を超えている為、今回ばかりはKCIも受け取りを拒否。やむなく、供用開始が遅れているCipinang機関区に搬入されています。電化設備もないのにどうするのか?そのまま塩漬け・・・。このようにジャカルタ側の用意が全く出来ていない中、輸送されてきたのには訳があり、それはコロナウイルスの影響で建設が一時凍結状態のLRT Jabodetabek車両の出荷が出来ず、INKA工場内の車両留置場所が無くなっているということ。2月に工場にお邪魔したときにも、既に工場敷地内が赤いLRT車両で埋め尽くされており、このまま作り続けて大丈夫なのか?と思いましたが、KFWを先に出荷させることにしたようです。急ピッチで電化工事が進むジョグジャ~ソロ間ですが、さすがに完成まではあと数か月かかるものと思われ、ジョグジャ電化を待たずして、ジャカルタ地区で試運転が行われる見込みです。しかし、いずれの電車区もこれ以上の車両を受け付けることができないため、旧ブカシ電留線を起点に試運転を実施する計画があるようです。タンジュンプリオクも、今はコロナ運休で客車でいっぱいですし、そもそも今では貨物の入れ替えにも支障するでしょうし・・・。どこもかしこも三密です。それにしても、かつて一度も営業運転を行っていないブカシ線での日中試運転はちょっぴり楽しみですね。INKA工場内は引き続き容量が切迫していますので、近いうちに他の編成もCipinangに移動してくるでしょうから、こちらにも注目です。Cipinang~Bekasiの回送は常駐している運輸省保有のCC300の出番になるのでしょうか。


赤いシートの中が気になる人はこちらの記事をご覧ください

鉄道コム

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