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2021年もメトロ車8連(チョッパ車)は走り続けるのか?

いよいよ日本国内では残すところ1本になってしまった武蔵野線の205系。一方で、2016年~2017年には国内の需給関係から一旦ストップしつつも、2020年末までに計812両がジャカルタに到着します(既に12両が事故廃車になっているので、正確には800両)。これらはジャカルタの通勤地獄の救世主ともてはやされることもありますが、当ブログの読者の皆様ならご承知の通り、これらは純増、つまり輸送力増強に貢献しているかと言えば、そうとも言い切れません。ジャカルタの電車2019ー2020にアップした表のとおり、部品取り用中間車を除いても、既に264両が経年廃車(又は一部事故廃車)されています。つまり、現時点での予定純増数は536両ということになります。


2013年~2016年頃にかけて都営6000系72両、103系16両、それに8000系列の一部24両、1000/5000系の一部16両、それにメトロチョッパ車の初期故障及び事故編成32両が大量に廃車されています。かつてプルワカルタ及びチカウムに山を築いた車両たちです。つまり、第一弾としてやってきた205系埼京編成は計算上、ほぼ置き換え名目ということになります。いや、非冷房車Rheostaticの置き換え分も考えたら、横浜編成の半分近くは置き換え名目になりますね。

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2013年~2016年にかけて205系に置き換えられたKAI保有の経年車
なお、10月3日終電後には久々のプルワカルタ廃回(まずは客車から)が
施行されており、今後電車も追随するものと思われます

◆205系武蔵野編成は既存車両をどれだけ置き換えるか?

では、今回の武蔵野編成はどうでしょうか?これも、皆さまご承知の通り、メトロチョッパ系列の経年劣化が進んでおり、離脱・廃車になる編成が増えています。また、KAI所有の8500系・1000/5000系の廃車も進みました。また、引き続き運用に入っている編成も、そもそも8連で使い勝手が悪く、車両故障も頻発しています。コロナ禍がなければ、2021年以降に中古車輸入特例の延長を申請した上でメトロ8000系を導入し、チョッパ系列はきれいさっぱり置き換えるという算段だったのでしょうが、ここにきて計画に狂いが生じています。

新車導入は早くても2024年頃になるでしょうから、それまでにどうやってチョッパ車を維持するのか、それとも205系武蔵野編成で置き換えてしまうのかというところが焦点になります。そんなわけで、今回もしばし妄想にお付き合いください。

◆205系武蔵野線車両導入前の経年車陣容 ※2013年以前に導入された車両

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離脱間際の6111F
並んだ新入りと交代する格好で過去帳入り

武蔵野線205系が到着する直前、2017年時点でのメトロチョッパ車、及びKAI保有の編成数は以下の通り(休車含む)でした。

チョッパ車
6000系11本
7000系3本
05系7本

KAI所属車
5000系2本
1000系2本
8500系8本

※いずれも8連換算

チョッパ車も初期故障で再起することのなかった6112F・6113F、それに事故廃車となった05‐107F、7121F以外は基本的に全て運用に入っていたわけです。しかしその後、次々に離脱する編成が発生し、2020年8月までに05系2本、6000系2本、7000系1本が書類上の廃車(除籍)となり、6123F、6126Fも引き続き休車が続いています。またKAI所属車は12連に組み替えられた8000系・8500系4本を除き、やはり書類上の廃車となっています。実はKAI所属車の全廃は205系横浜線編成、南武線編成導入時に既に計画されていたことですが、12連化が決まった(当初は横浜編成は8連のまま、南武編成は8連に組み替え予定)ことで白紙撤回されています。

◆今後、置き換えが実施される可能性のある編成は?

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10月7日は約1か月ぶりにボゴール線運用に05系が登板
この日は珍しく、冒頭画像の05‐110Fと共に05‐108Fも夕方ラッシュ運用を代走

東急車4本については書類上12連であることから、直近2年程度での置き換え計画はありませんから、メトロチョッパ車について見てゆきましょう。9月下旬時点で現有されているメトロチョッパ車は以下の通りです。

6105Fプリオク線専用
6106F
6107F
6115F
6123F休車中
6126F休車中
6127F
6133F
6134F

7122F
7123F

05‐102Fプリオク線専用
05‐104Fプリオク線専用
05‐108F※
05‐110F※
05‐112Fプリオク線専用

※印もプリオク線以外での運用は極めて稀

以前、記事でもお伝えした通り、05系の落日ぶりが顕著で、ここ2か月近くタンジュンプリオク線以外での運用実績がほぼありません。現在、プリオク線は3運用1予備の体制ですので、上の表に特記した4本で回しています。ただ、それでも故障がときおり発生しますので、その代走要員として05‐108F、05‐110Fがデポック電車区で各線の共通予備編成として待機しているのが、最近のパターンです。不要不急路線とも言えるタンジュンプリオク線は、今後も8連以上での運転はあり得ないことから、メトロチョッパ車最後の活躍の場となることが考えられます。言ってしまえば戦力外通告された編成の溜まり場になっているわけで、それらを除くと実働しているメトロチョッパ車は8本しか存在しないことになります(現状のプリオク編成が再起不能に陥った場合、この8本から新たなプリオク編成が選出されるわけです)。

ですから、先に言ってしまうと、プリオク線に限っていえば、当面8連のメトロチョッパ車が活躍するのです。武蔵野編成で全ての編成を置き換えることはそもそも不可能です。では、残りの8本は果たして置き換えが出来るのでしょうか?

◆武蔵野線205系が急遽10連化された訳

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暫定5+5両もこのままデフォルトになるか?

前提条件として、メトロチョッパ車の今後の命運を決める要素、武蔵野編成の10連化があります。当初は全て12連化される予定でしたが、今年の6月以降、急遽10連への組み替えが加速しています。第9陣到着以降の編成では、そもそも12連になるものは1本も存在しません。明らかにコロナによる需要減、そして、来年以降の車両導入計画が白紙に戻ったことを意味しています。今度は、横浜・南武編成の長編成化で一命を取りとめた編成が出たのと逆のことが起こるわけです。仮にコロナ禍が過ぎ去ったとしても、通勤需要は明らかに減りますから、12連の確保がもはや喫緊の課題ではなくなります。スルポン線の12連化についても、ランカスビトゥン電留線が12連対応で10月16日に完成したものの、各駅のホーム延長等は無期限延期になっています。

そのような状況下では故障の激しい経年車の置き換えに走るというのは当然のことでしょう。その結果として、既に5本が修理を待たずして除籍されているわけですから。

現時点で武蔵野線205系第11陣編成は運用を開始していないことから、第12陣と合わせてあと8連6本が今年中に運用投入されます。つまり、計算上これでもほぼ大半が置き換えられてしまうわけです。ただし、これらはご承知の通り10連に組み替えられます。とは言え、昨日の記事でもちらっと書いた通り、既存の12連一部(M10+M16,M13,M36)を10連化し、種車を捻出することが考えられますので、そのまま6本導入されると計算して差し支えないでしょう。ですから、仮に置き換えが進んだ場合、年末までに理論上、実働するメトロチョッパ車は2本にまで減ってしまうのです。しかも、使い勝手の悪い8連2本をわざわざ残しておくとも考えられませんし、現状の所有数と運用数を考えれば、故障の少ない205系に大半が統一されることで予備車は削減され、メトロチョッパ車の置き換えは可能なのです(ただし、タンジュンプリオク線に限っていえば、適当な8連車が存在しないことから、どの編成が生き残るかはわからないにしろ、メトロチョッパ車が当面の間は続投)

◆2024年まで大規模なダイヤ改正を実施せずに乗り切るか?

武蔵野第11陣、第12陣が見立て通り、既存編成と組み替える形で10連化され、本数が順当に6本増えるとすると、年末時点でのKCIの所有総編成数は113本となります。対して平日の運用数は91。実働しているメトロチョッパ車8本に加え、休車中の2本の10本を差し引いても103本を所有しているのですから、検査予備等を考慮しても、十分な数と言えるでしょう。また、12連のまま残っている武蔵野線VVVF編成9本のうち、5本を10連に組み替えれば、さらに1本の捻出も可能です。205系5000番台での4M6Tが解禁されたことで、より柔軟な組み替えが可能になったのは、非常に大きなメリットです。運用数91本が当面継続されるならば、プリオク線以外にメトロチョッパ車の存在意義はありません。

◆しかし、どんでん返しの大逆転もありうる?

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最後の旧塗装、6123Fは果たして復活するか?

ただ、気になるのは今のところ全検と同時に修繕予定とされている休車の2本、6123F、6126Fの存在です。もし、使う気がないのであれば、わざわざ全検など通さずに廃車にするのが妥当です。既に10月分の入場編成は確定してしまっていますので、残る2か月×デポック・マンガライ2か所の計4つの入場枠にこれら2本が入るのかどうかが、今後のメトロチョッパ車の命運を左右する材料になることは間違いありません。とにかくも、何が起きるかわからないのがジャカルタです。

メトロチョッパ車にとって、運が良かったのは、今年の入場予定編成に205系がほとんど含まれていなかったことで、経年車の検査に臨機応変に対応出来たことです。これが205系の場合、もうスケジュール通りにガチガチに固められてしまいますので、「205系の年」に検査期限を迎える経年車はこれまでにも自動的に廃車となりました。ですから、今年に入りチョッパ車が立て続けに入場し、最低限の延命が図られたこと、さらにあと2本の入場のチャンスが存在するということは、理論上、置き換えが可能とは言え、メトロチョッパ車にとっての最後の希望ですし、予定外にやってきたコロナ禍という局面を乗り切る妙薬にもなりうるでしょう。

未曽有のコロナ禍は全てを破壊しましたが、反面来年の車両導入が途絶えたということ(仮にE217が導入されたとしても、プレミアムカー要員ですので別問題です)は、それだけ現状の車両を大事に使わなければならないということでもあります。さらに、利用者の減少は短い8連車への風当たりを弱めることにもつながっています。8連がそこそこまとまった数残せるのであれば、それこそタンゲラン線がかつてのように8連に戻るなんてことも有りうるのでしょう(タンゲラン線の12連化は空港特急運転に伴う減便の交換条件でしたから、コロナ禍で空港特急が自然消滅してゆけば、8連でも十分ということになります)。これ以上の日本車が導入されない公算は非常に高い情勢ではありますが、今まで以上に何が起こるかわからないジャカルタの顔を見せており、ジャカルタの鉄道シーンを巡る楽しみはまだまだ続きそうです。

今月の動画はこちら。
ラスト1本となった記念に総集編をお送りします。

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2018年から追い続けてきましたが、あっという間に最終回となりますね。早いもんです。

 
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