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1か月前には工事たけなわだったプルウォサリ~ソロバラパン間

2020年2月上旬に着工し、コロナ運休による作業時間帯の確保が後押して電化開業も目前に迫るジョグジャ~ソロ間。まさかの205系のローカル転属が実現し、現地マニアも電化を今か今かとヤキモキして待ちわびているところです。しかし試運転は無事始まれど、11月開業は水に流され、年内にも間に合わず、果たしていつから営業運転が始まるのかと言った雰囲気・・・。ただ、ここにきて、1月15日からソフト営業を開始し、20日のダイヤ改正から運転が始まるのではという噂が出始めています。



既にインドネシア的に言わせれば十分な回数の試運転が実施(12月18日以降の走り込み試験も、後半の方はかなり運休になる日も多かったようですが無事終了したようですし)されており、いつでもお客を乗せられるように見れますが、ネックになっているのはソロ市内のプロウォサリ~ソロバラパン間の工事遅れです。着工後、まずは中間のクラテンからソロ方面に進んだ電化ですが、そのソロ側の終わらないというのはなんとも皮肉な話。しかし、実はこれには別件の工事が絡んでおり、そちらとの調整で遅れが出ているものと推測されます。

まずは、プルォサリ駅西側のフライオーバー工事。こちらの道路工事がある程度まで進まないと、線路側の作業が進められない状況で、3月訪問時にはポックリとこの間だけ未着工でした。ただ、フライオーバー順調に進んでおり、既報の通りプルォサリまでの電化は完了しています。



しかし、プルォサリまで下手に電化されたため、ジョグジャ~クラテン間の暫定電化開業は白紙となり、プルォサリ~ソロバラパン間の完成を待たずして、営業運転開始はあり得ないことになってしまったのです。

そのプルォサリ~ソロバラパン間の工事遅れ最大の要因は南本線複線化事業との絡みです。運輸省は2019年~2020年南本線の複線化事業を集中的に進めており、2019年にはプルウォクルト~クロヤ間2か所の複線トンネル(新ノトグトンネル、新クバセントンネル)が開通し、チルボンからの西側の複線がクロヤまで到達。また東側のソロジェブレス~ジョンバン間も複線化が完成しています。2019年末時点で、1か所のトンネルを含むクロヤ~クトアルジョ間、ソロ市内で用地取得が難航していたソロバラパン~ソロジェブレス間、同じくスラバヤ近郊で用地取得が遅れている(未だに着工されていない)ジョンバン~ウォノクロモ間です。

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2020年末時点の南本線複線化状況
ピンク色のモジョクルト~ウォノクロモが未着工区間
運輸省鉄道総局SNSより

2019年までに複線化が達成されなかったクロヤ~クトアルジョ間ですが、最後まで残っていた新イジョトンネルが2020年4月に開通。これで西側区間、チルボン~ソロ間がようやく複線で結ばれました・・・と言いたいのですが、忘れてはならないのがソロバラパン~ソロジェブレス間。ジャカルタからの特急も急行も今は全てソロバラパン又はプルウォサリ止で、場末のソロジェブレスはジョーナン時代に廃駅化も取りざたされたため、正直どうでもいいのですが、ボトルネックをいつまでも残しておくわけには行きません・・・。で、トンネルがあるわけでも橋があるわけでもなく、遅々として進まなかったソロ市内1駅間が複線化されたのは2020年10月7日。つまり、配線改良も伴うソロバラパン~ソロジェブレス間の複線化が完成するまで、電化工事に入れなかったというのが実態なのです。

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10月7日の線路切り替え工事の様子
コロナ運休でこの区間の列車運行はほとんどないため日中の実施
電化設備は架線柱の柱み立っている状況
運輸省鉄道総局SNSより

ちなみに、ソロバラパン~ソロジェブレス間は今回の一期電化開業区間に含まれていませんが、準備工事及び入れ替え用にソロバラパン駅から1㎞弱は一括で電化しています(ジョグジャカルタ側も同様)。ソロジェブレスまでの電化は二期工事として順次着工予定です。

ブディカルヤ一行は10月8日に運輸省保有の黄色い巡視車でソロ入りして式典開催

なお、その後、やや遅れて10月28日にジョンバン~モジョクルト間の複線も完成し、当南本線複線化事業はひとまずの終了です。モジョクルトから先、スラバヤ市内およそ40㎞の線路際の状況を見ると、複線化の完全完成はまだまだ先でしょう。

そんなわけで、前置きが長くなりましたが、12月上旬時点でのソロ市内の電化工事の状況を紹介します。

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高床化とホーム上屋延長がなされたソロバラパン駅
なお、架線はまだ張られておらず

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営業中の駅構内に重機を運び込んで作業中
なかなかシュールな光景

ジョグジャから快速プラメクスに揺られること1時間、ソロに到着。駅構内はまさに工事が真っ盛り。この状況を見る限り、1月開業も正直間に合わないのでは・・・という感じですが、インドネシアのことなので、何とかしてしまうのではとも思います。また、ホーム側の工事はおそらくKAI側の範疇と思われ、205系の導入決定を受けて急遽実施されことになったのでしょう。日本型車両のスカート及び床下機器の車両限界に合わせホーム基礎を後退させているのもわかります。

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こちらも計画変更で?建設されることになった電車区
だとすると、これもKAI負担かな?

そうそう、ソロバラパン到着前、上下線に挟まれた草ぼうぼうの客車区及び遊休地が整地されており、立派な電車区の骨組みがお目見えしていました。当初計画通りならば、クラテンはあくまでも留置機能と簡易検査のみ、KFWの重検査の類はINKAに返却しての実施と思われていましたが、205系を導入するのであれば、KAIも自前で電車区を持たなければなりません。このあたりの絡みもあり、ソロ付近の電化工事は遅れに遅れてしまったのでしょう。

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1か月後、どんな変貌を遂げているのかも楽しみです

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ソロジェブレス側へ
駅本屋を挟んで南側の近郊ホーム側

さて、先ほどの複線化が完成したソロジェブレス側を見てみましょう。要するに画像のような感じです。写真で紹介したほうが早いでしょう。まだ肝心の架線は張られておらず。

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駅本屋を挟んで北側の長距離&空港用ホームはジョグジャと異なり
そもそも電化しないようですね

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電化よりも複線化の残工事という感じで、多くの作業員が何やら
作業していました

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なお、架線柱はソロジェブレス方面にしばらく続いています

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近郊ホーム側に戻ります。こちらでも線路側の工事が行われています。
なお、コロナ運休をいいことにプラメクス折り返し用1本以外、ほとんど使われていないようですね

次のプラメクスまでまだ時間がありますので、コロナ運休とはいえ若干の本数のあるプルウォサリ側にオジェックを捕まえて移動してみることにします。

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ソロバラパン~プルウォサリ間の様子
案外、静まり返っています・・・

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ジョグジャから方向からプラメクスが。
これの折り返しに乗車します

再びオジェックを捕まえ、駅に戻ろうとしたところ、列車が来るわけないのに踏切が鳴りだし、何事かと思えば、PT.DENSHAの作業員を乗せた謎のビーグルが登場。これはなんだ?

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PT.DENSHAの誇るDMV
踏切内でモードチェンジですか

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車輪が出ました

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そして再び踏切が閉まって、今度は久保建設ならぬ、(株)優和が登場
久留米市からやってきたようです

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こちらも踏切内モードチェンジ
ただし、仮台車を履かせるだけで、自走は不可

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プラメクスの折り返し間合いの40分で作業再開なんですね
ホント、コロナが無かったらこんな急ピッチに電化開業出来ませんでしたよね・・・

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DMVの前に貨車を増結
資材を積み込みます

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(株)優和も資材積み込み中

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作業している脇をArgo Wilisが定刻で通過
プラメクス折り返しまでもあと20分ちょい

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そんなわけでPT.DENSHA一行はソロ駅構内工事現場へ出発
プラメクスは渡り線までの間、こちらの線路を通ります

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ソロバラパン駅構内に向かうPT.DENSHA号
よく謎DMV1台で引っ張るもんですね

この時点でプラメクス発車まで15分を切っており、PT.DENSHAが本線を塞いでいれば自ずとプラメクスは遅延となるのですが、私の乗ったプラメクスは定刻発車。仮に遅延させたら、当然ペナルティを被るのはPT.DENSHAの現場監督者でしょうから、こういうときだけはキビキビ動くわけです。なお、保安装置のないインドネシアにも一応線路閉鎖という概念はあり、Window Timeとして、KAIから線路使用時間の許可を与えられています(KAIの保線車両は通常の列車としてダイヤ内で運行)。このプラメクスが行ってしまえば、この先2時間くらい列車の間隔が空き、当然そこもWindow Timeなわけですが、たった40分の合間すら惜しみなく使うというのは、何者かにケツを叩かれているインドネシア人根性と言ったところですね。

この気合で乗り切ったならば、12月中の完成も夢ではないということで、実際に12月30日にはKFWを用いたソロバラパンまでの試運転がクラテン~ジョグジャ~ソロバラパン~ジョグジャ~クラテン間で1回だけ設定されています。とにかく年内までに間に合わせるというのがお上からの命令だったのでしょう。ただ、年末年始を挟み、その後の試運転が再開していないところを見ると、プルウォサリ~ソロバラパン間で何らかのトラブルが発生しており、再調整の必要性があるものと思われます。この調整が終わり次第、1週間弱の慣らし運転を経て、晴れてソフトオープン(UJI COBA OPERASI)となるわけですが、15日開始説が本当ならば、そろそろ試運転が始まっても良い頃合い。この1週間が正念場になりそうです。

ついでに付け加えておくと、最後までジャカルタに残っていたKFWリニューアル車、Ts8は12月26日終電後から27日にかけてマンガライ~クラテン間で配給されています。これでジョグジャ配置は205系2本、KFW3本になりましたが、Ts9が年末の試運転で不具合を起こし、ソロ客車区に取り込まれている模様です・・・。

というわけで、年末年始の名ばかり移動制限期間も本日で終了、そろそろジョグジャへ飛び立つ準備をするとしましょうか。

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