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人々でごった返す夕刻のタナアバン駅 ※コロナ前の撮影です
撮影:E103系

急転直下の決定です。ご承知の通り、日本と同じくインドネシアはロックダウンのような強い制限が難しく、かつ経済最優先としてこの1年、人々の活動に大きな制限をせず、特に移動の自由が守られて来ました。ワクチン投与の拡大、そしてマスク着用の義務付けはやはり効果が大きく(当たり前の話ですが、酒を出す夜の店は当初から強制閉鎖です)、感染者数はみるみる減少しています。一部業種を除いて在宅勤務も終了し、街中の様子は「もはやコロナ禍ではない」と言ったところ。ですので、上の画像はコロナ前と言えども、現実同じような光景が戻ってきています。




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改札内の混雑がいくぶん緩和していても、
駅外では人気アトラクション並みの大行列ですからね

その影響で、電車の混雑は日に日に増しており、朝夕の改札入場待ちには長蛇の列が発生しています。もちろん、そんな小手先の人数調整では1両74名という定員など守られるわけもなく、車内は超満員です。それでも、安全に利用できるのは、やはりマスク着用、かつ携帯電話の使用を含む会話が禁止されていることに尽きます。ですので、首都ジャカルタ特別州が本数削減、運行時間短縮を求めても国鉄KCI側は、それを一蹴してきました。この辺は昨年今頃の過去記事をご参照いただければと思います。しかしながら、今回ばかりはKCIも無視できない情勢になっており、DKIアニス知事の要請を受け、本日(5月3日)から当面の間、夕方時間帯に限り(15:00~19:00)タナアバン駅の閉鎖を発表しました。これは、前日夜に突如決定され、SNS上は今朝から大荒れでした。なお、スルポン線の電車はパルメラで折り返すわけではなく(非常時の折り返しは可能ですが、急転直下の決定の為、既存ダイヤを踏襲)、通常ダイヤ通りパルメラ~タナアバンを走行しますが、回送扱いとしています。また、ボゴール線も厳密には通過ではなく、運転停車の形態をとっており、これも通常ダイヤに則って運行されています。

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誰も居ないタナアバン駅
ボゴール線からの1本目のタナアバン通過は1609列車から
向かい側に停車中のスルポン線は15:00を回っているのに乗客が乗っていますが
15:05発ランカスビトゥン行き2088列車で、営業休止前最後の列車
(改札自体は15:00キッカリに閉めているのでしょう)

リツイート数があり得ないことになっていますので、
興味のある方は覗いてみてください


先週末の土日、タナアバン市場に買い出し客が殺到し、超密状態が発生したのを受け
アニス知事が激怒、駅の閉鎖をKCI側に要請したようです

断食月ラマダンも折り返し地点を迎え、断食明けレバランを前に、国民たちはいよいよお祭りムード。レバラン向けの衣類買い替え需要で、先週末はオバちゃんたちがタナアバン市場に殺到し、大カオス状態・・・現地メディアでも大きく報じられています。特にこの買い物客の大半がスルポン線沿線末端部のバンテン/ランカス民ですので、通勤客以外はジャカルタに来るな!とするアニス知事としたら怒り心頭というのはごもっともなところでしょう。去年の今頃は、自粛要請とは言え、さすがに軍隊がかなりの頻度で見回りをしていた時期ですので、さほど混乱は起きませんでしたが、既に中央政府はコロナは完封!!として対策を放棄(ついでにアニスを失脚させる算段)していますので、市場は無法地帯になっていたというのは容易に想像が付きます(笑)

拡散された週末のタナアバンの様子
これはヤバイ

そして、矛先は対策を怠ったとして、アニス知事に向けられるわけですが・・・
知事の追放を企むジョコウィの罠

一方のKCIは、タナアバン市場がカオス状態になったとしてもウチには関係ないと無視を決め込むのが常でしたが、流石に駅のソーシャルディスタンスのコントロールが難しくなっているのでしょう。特にスルポン線スルポン以西は所謂民度が低い、田舎区間であり、マスクこそしていても、飲食や会話を始める可能性が高く、特にブカプアサ時間に限り、断食期間中はKCIも公式に車内での飲食を認めていますので、このタイミングで車内でドンチャン騒ぎをされてはたまったものではないでしょう。タナアバンを終日無停車にせず、夕方時間帯だけ限っているというあたり、そのあたりを考慮しているということがうかがえます。朝イチで買い出しに出て、15時前までに電車に乗ってしまえば市場での買い出しは出来るわけで、市場への流入抑制策としては大いに疑問符が付きます。

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5月3日16:30のパルメラ駅
普段から入場制限している上に、タナアバンからの客が流れて来れば大激パですよね
撮影:E103系

なお、ジャカルタ中心部への通勤利用者に対してはカレット、又はパルメラからの振り替え乗車をお願いしており、トランスジャカルタが初日の混乱を想定して、タナアバン及びカレットからの無料シャトルバスを用意していました。まあ、実際タナアバンの混雑を回避するために、両駅で乗降している人もいるくらいですし、業務エリアにはそちらの方が近いですからタナアバンを閉鎖しても大きな影響はありません。それでもパルメラ駅はご覧の通りの大混雑。パルメラ体育館とも揶揄される巨大コンコースが役立ちましたね;;

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日に1本の送り込み列車は通常営業

ただ問題なのはマンガライ方面から環状線、スルポン線を乗り継ぐ人で、SNS上でのクレームも、おおよそ乗り換え客からのものに見えます。こうなると、マンガライ16:00発のスルポン線直通ランカスビトゥン行き2101列車の扱いですが、タナアバンで運転停車ではなく「カレット~パルメラ間は回送となり、ご乗車出来ません」とお客様の声に返信していながら、実際マンガライで観察していると、しれっとランカス行きが現れまして、直通乗車可能(タナアバンでのドア扱いはしない)とのこと。これを大々的に案内すると、利用者が殺到する恐れがあるので知っている人だけの乗り得列車なのでしょう。だいたい、さっきの1609列車、2088列車にしても、実際に駅で確認したからわかったようなもので、これだけ情報開示に積極的になっている中、このあたりの詳細に関して公式はだんまりを貫き通していました。混雑の集中を回避するためでしょう。駅でもほとんど案内していないですし・・・。おそらく、初日は乗って初めて車内放送で気づくという人がほとんどだったのではないかと思います。

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5月3日17:00のカレット駅前、案の定帰宅難民の様相です
通勤客に非はないはずなのですが・・・
一部のマナー違反する人のおかげで皆が迷惑するという最たる例でしょう
撮影:E103系

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タナアバンに停車中の日車気動車改造の通勤客車を連ねた
ムラク行き快速バンテンエクスプレス
2012年撮影

しかし、タナアバンの強制通過と言えば、やはり思い出すのはジョーナン社長ですね。ランカス民でごった返すタナアバン駅の治安維持のため、断食明け大祭レバランを期にスルポン/バンテン線の普通列車、所謂ランカス鈍行をタナアバン駅全通過にするという奇策は、ジョーナン社長の鉄道改革を象徴する事象でしょう。しかし、当時はSNSによる情報発信など皆無であり、何も知らずに駅に行ったら、今日から列車は停車しませんという張り紙が出ていたのにも、時代を感じます。当日駅で客がブチ切れて、実力行使することもしばしばありましたね(笑)それが今やSNSの炎上で済むのですから、隔世の感です。

ちなみに上の画像、2012年末にスマトラから転入してきた赤罐牽引の普通列車(快速)。ふと、昔のフォルダを見て、列車に乗りながらどうやってタナアバンで撮ったのか?と不思議に思いましたが、2012年のレバランではスネン発着のランカス鈍行がアンケ発着に変更されただけで、タナアバンはまだ停車扱いだったんですね。もう記憶が曖昧・・・。過去の記事を遡ると、普通列車の通過処置は2013年8月5日からでした。結局「タナアバン駅改良工事」を名目になし崩し的に延長(駅改良工事って結局何だったの?)され、2017年4月にランカスビトゥンまで電化開業し、普通列車が全廃されるまでこの処置は続くこととなりました。4ドアオールロングシート化で田舎の乗客たちも少しはお行儀が良くなったのかと思いましたが、そう簡単に人間は変わらないということですね。昨日のタナアバン駅閉鎖、なんだか先祖返りしたようで、妙に懐かしい気持ちになりました。

おまけ
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ドゥリで発車待ちをするランカス鈍行
タナアバン全通過と引き換えに、ドゥリが各駅停車(KCI)との乗換駅となっていました

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この頃は、まだギリギリ線路内市場も残っており、
一番面白い時期でした

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