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曰く付きの韓国宇進製電気気動車のお手並み拝見
このスカート形状ではそもそも建築限界規定を満たしていませんよね(笑)

先月末、久しぶりに飛行機に乗って海を渡り、北スマトラに初上陸する機会がありましたので、その際に利用したメダン空港線を紹介します。2013年にインドネシアで初めて開業した空港鉄道ですが、以来全く訪問の機会無く、気づけば開業8年目・・・(愛称がARSからKAI Bandaraになってしまい、前面がパンダのような変な顔になってしまいました)。ただ、これもスカルノハッタ同様、大きなトラブルなく運行しています。




安物買いの銭失い、そして運輸省と宇進のズブズブの関係も垣間見られた、お粗末宇進製KRDEですが、安定運行の背景には、空港特急を運休させるわけにはいかない(当然、お上からのペナルティ付きでしょう)という誇り高きインドネシア人のプライドがあるようです。また、宇進はINKAよろしく、車両の組み立てをしているだけで、宇進が納めているものと言えば、VVVFやSIVの一部の電機品だけで、あとはカミンズなど気動車ではお馴染みのメーカー品を寄せ集めです。通常運行時には3運用1予備というかなり厳しい体制(全検入場時には予備無し)ですが、予備品をすぐに使える状態で確保することで、車両故障による突発的運休を回避しているようです。

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コロナ禍入って以来の減量ダイヤでは2運用2予備
の安心体制

さて、この空港線、ジャカルタからではなかなかわからない数々の謎が存在します。そのいくつかを紹介します。まず、上の時刻表を見て気づく人は気づきますが、2019年12月に市内区間の高架複線化が完成し、交換待ちの廃止と最高速度が向上(80㎞/h)したことでメダン発空港行き35分・空港発メダン行き45分という、いびつな所要時間から、上下28分に大幅なスピードアップを果たしています(それでも3運用1予備体制では均一30分毎化は実現出来ず・・・)。しかし、始発と最終の2本のみは33分~35分かかっています。

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インドネシアらしからぬ?真新しいメダンの空港線専用高架ホーム

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右が高架の空港線駅舎兼ホーム、在来線は引き続き地平
地平ホームもインドネシアらしからぬ雰囲気
(ここまでくるとタイと目と鼻の先ですから)

実はこの高架化、非常に不思議なつくりをしており、これでメダン市内の踏切が廃止されたわけではなく、空港特急以外の一般列車は引き続き、地平の線路を経由するのです。つまり、実質的に、1駅先のバンダルカリパ駅まで複々線の役割を果たしているのです。しかし、問題はRailinkの車庫も引き続きメダン駅の地平にあり、始発と最終は隣駅まで回送して、地平ホームに送り込むか、あるいはこれら列車限定で、地平経由で客扱いをするかのどちらかです。まあ、所要時間を見れば一発で、通常より遅いのは、マニラやバンコク並みのスラムの中を走る地平経由(ジャカルタがいかに発展しているのかが、よくわかりました・・・)で速度制限が課せられている(この時間帯、対向列車はないので交換待ちではない)ためです。しかし、問題はエコノミ客、エグゼクティブ客分離の前提から、地平の一般ホームで空港特急の乗降が出来ない、というか、空港線改札は全く別のところにあるため、どうやって客扱いするかです。もう、これは観察するしかありません。始発と最終の空港特急はどこで発着するのでしょうか?

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ええ?
なお、映っている車両は唯一の新塗装車

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そう、地平時代の空港線駅舎とホームは廃墟のようになりながらも
残存しているのです・・・。右隣が空港線の車庫。
車庫の中央の線路はジャッキアップ用の為、留置は不可。

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駅舎内は改札も撤去され、謎の空間が広がっていますが、
始発終着の4本のみに使用されていました

そんなわけで、空港線高架と車庫の隙間に旧駅舎が残っており、朝と夜の4本だけこちらから発着していました。新駅舎とそもそも動線が異なり、到着列車はまだしも、始発の乗客に対しては人海戦術で案内を行い、ここに即席友人改札が設置(というか、コーンとロープで仕切っただけの)されるのでしょう。車庫は2本分しかないので、残りの2本はホーム滞泊になります。ならば、高架上に留め置きで良いじゃんと思いますが、日によっては車両交換もあるでしょうし、高架ホームは本線上の棒線扱いなので、そもそも留め置きは不可能なんですよね。

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新塗装と旧塗装の並び
※許可を得て撮影

さて、いきなりそんなマニアックネタをかましてしまいましたが、上に新塗装編成を出しましたのでついでに車両の話。昨年末頃だからに突然ネットに上がって来たこの新塗装車(というか、空港特急色)ですが、今回訪問時点では4本中1本のみで、それ以外は旧塗装&前面だけ白のハイブリットタイプでした。当然、車体塗装がされたということは、全検入場をしたことを意味しているはずで、その部分、質問したところ、KCIでいうP48を受けているという認識で間違えないようです。なお、オーバーホールはメダン駅構内の車庫では対応できないことから、1駅先にある北スマトラ(スマトラ第一地域事業部)のメンテナンスの砦であるBalaiyasa Pulubrayanで実施しているとのこと。ちなみに2013年開業で、未だに1本しか全検を受けていないことになりますが、空港線は走行距離が短いことから、3年に1回のセミPA、6年に1回のPAが基本サイクルのようです。これは、ジャカルタにも適用されている模様。まあ、それにしても1年遅れでのPAであり、他の編成に入場の気配が見えないことから、お試して1本バラしてみたという感じなのかもしれません。だいたいコロナ禍でこの1年、ろくに走行距離伸びていないでしょうし・・・。

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ちなみに新塗装になっているのはTs3
ただ、検査表記が未記入って・・・、果たしてどこまでバラしたのか。
しかも、2013年7月開業なのにMDが11月15日なのは??
また謎が増えてしまった・・・

ただ、自前でのメンテ云々の以前に、主要機器は定期的にメーカーに戻されオーバーホールされており(車庫にはオーバーホールされて返って来たピカピカの機器がストックされていました)、メンテナンスの外注化が進んでいます。ですから、実際問題Balaiyasaで実施する項目と言うのはメカニック的部分ではなく、車体修繕(再塗装)や冷房清掃くらいなのかもしれません。ジャワ島管内とは、全く異なるメンテナンス体制であるということがわかりました。

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コメント

コメント一覧

    • Wati
    • 2021年06月14日 15:25
    • こんにちは。

      > 実はこの高架化、非常に不思議なつくりをしており、これでメダン市内の
      > 踏切が廃止されたわけではなく、空港特急以外の一般列車は引き続き、
      > 地平の線路を経由するのです。
      そこですよね。
      何のために高架化したのだろう?
      在来線は地上のままで、Jl. Sisingamangarajaの踏切渋滞は解消されないし。
      在来線客と空港線客とを分離したいのなら、地上ホームと改札口を別に作ればいいだけだし。

      やはりアレですかね?
      大きな土木工事が発生すると、莫大な利益を得られる人の存在でしょうか?

      > 地平ホームもインドネシアらしからぬ雰囲気
      > (ここまでくるとタイと目と鼻の先ですから)

      それはどうでしょう?
      2019年の訪問時には、空港→メダンで空港線に乗り、1泊後に在来線でメダン→プマタンシアンタール行きに乗ったのですが、駅も車内もインドネシアそのものでしたよ。

      あと、メダンにタイの影響は皆無だと思います。
      メダンから見ると、タイはかなり遠いという感じです。
      ①かつてあったメダン~ペナンの出稼ぎ船
      ②メダン~K.L.のフライト
      ③メダン~ハジャイのフライト
      に乗った事があるのですが、対マレーシアと対タイとでは人の流量が全然違いますね。

      ところで空港線の時刻表ですが、メダン→空港方面で、2番目の列車番号がU8fになっています。
      このfは何なのでしょうか?
    • パクアン急行
    • 2021年06月14日 16:46
    • >Wati様
      いつもご覧いただき、ありがとうございます。
      この高架、将来的には在来線も高架にする計画があるようです。高架は既に港方面に1駅先まで伸びており、レールも敷設されています。しかし、使われていないので草ぼうぼうで、真新しい高架の廃線跡のような不思議な世界です。こちらは、後日別記事で紹介出来れば、と思います。もっとも、在来線の本数は非常に少ないので、地平のままでも問題はなく、果たしていつ全面高架化が完成するかといったところですが・・・。まずは、工事用地を確保するために、地平時代の空港線駅舎を撤去しなければなりません。

      雰囲気の件ですが、駅舎や駅構内の作りがジャワと異なり、マレーシア?タイ?ミャンマー??あたりの異国の雰囲気を感じるという程度のニュアンスです。線路際で撮影していると、イスラム圏でないので野良犬がわらわらと出てくるというのもあり、インドネシアではないなと思った次第です。駅が中心地にあり、さびれずに栄えていたり、中国式の建物が並んでいたりと、ジャワではなかなか見られない光景で新鮮でした。アルファマート、インドマレットを探すのも一苦労・・・。

      列番U8Fは、コロナダイヤで5割削減にしたときに間隔が空きすぎてしまい時間調整をし、元のU8のスジからずれたためにF(fakultatif)が付番されています。このような場合、A(Alfa)を付ける場合もありますが、違いはわかりません。元スジが残存し、使える場合がF、元スジが消えている場合がAなのではないか?と個人的には思っていますが。
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