FCiLsifVkAYoEyy
これは派手にやらかしましたね・・・
CNBC INDONESIAインスタグラムより

いよいよ退院ということで、ガキンチョの最後の健康診査を待っている中、ネットニュースに目をやっているとショッキングな映像が入ってきました。当ブログでも先日、最新動向をお伝えしたばかりの国営、LRT Jabodebekが試験中に高速で留置車両に突っ込み、衝突側、被衝突側の両先頭車が大きく損傷しています。なお、試運転中のため、関係者以外は乗車しておらず、運転台の作業員(運転業務従事者)も命に別状はないとのことです。




現在、単線並列での試運転中ですので、右側通行、左側通行関係なく、走行していますが、乗員が全員無事ということは、冒頭画像の向かって左側が試運転を行っていた車両で、本線留置中の右側の誰も乗っていない車両に突っ込んだと見て間違いないでしょう。追突したのはTs29(K1 1 21 43~48)、被追突側はTS20(K1 1 20 91~96)と発表されています。なお、メディア報道には全く出ていませんが、すし詰めの留置状況からして、Ts20のさらに前方に留置中の1~2編成にも多少の被害があるものと推測されます。

↓10月26日15時追記

WhatsApp Image 2021-10-26 at 12.33.16
今朝になり一部メディアからドローン画像が公開されました

ドローン画像を見ると、冒頭画像の右側(上記画像では奥側)の上に乗り上げている車両の後ろに留置車両が映っていないことから、追突したTs29は上に乗り上げている方の編成のようです。朝までに他の編成が移動した可能性もあるかなと思いましたが、高速道路との位置関係から、上記画像の手前側がハルジャムクティ駅ですので、当時Ts29は左側の線路をチチャラス方面に走行(留置場所に向けて回送)していたことになります。先日、私が試乗した際には、右側線路を留置場所として、左側で試験を行っていましたので、現在は逆になっているようですね。これだけ大規模に破損していて、関係者がケガだけで済んだのは奇跡でしょう。(追突前に後方車両に移動?)

WhatsApp Image 2021-10-25 at 22.54.37
鉄ヲタフォーラムより

それにしても、沿道からの写真からはあまり伝わってきませんでしたが、こうしてみると一歩間違えば、車両が高架下に転落していた可能性もあり、非常に危険な事故であることが伺えます。単線区間における正面衝突で、車両があり得ない形状に大破するような事故は過去には度々起きていますが、複線化の進捗、自動信号化で近年はほとんど発生しておらず、追突事故も2015年のジュアンダ事故以来堪えていましたが、まさか新線区間でこのような事故が発生するとは驚きを隠せません。基本動作の徹底、規定の遵守は安全の要であると、改めて認識させられます。

追記ここまで↑


発生後数時間はINKAもKAIもいつも通りシラを切り続けていましたが・・・

事故が発生したのは10月25日13時頃で、ジャゴラウィ高速道路KM12/600付近にて住民が衝撃音を耳にし、撮影した動画が一気に拡散しました。なお、事故後はすぐに陸送時に使用され保管されていたビニールシートに覆われ、外からの様子は見学できず、報道規制が敷かれているのか、報道各社もドローンが使えない状態のようです。よって、各社がこの住民の撮影動画を使いまわしている状況です(なので最初は流行りのHOAX動画かと思って見ていたら、本当でした・・・)。LRT Jabodetabekの駅にすると、チラチャス~ハルジャムクティ間で、私もこの前乗った区間(笑)ですね。

DSC_0043_R
ハルジャムクティ駅からチラチャス側を臨む
本線上は車両でギッチリ


こちらの記事も合わせてお読みください

まず、LRT Jabodebekの基礎知識がない人のために説明しておくと、今回のこの事故、どうして本線上の無人の列車に後続車両が追突したかという部分ですが、現在、LRT Jabodebekのブカシティムール車両基地は工事が遅れており、使用できない状況です。しかし、車両は全31本が落成しているため、チブブール線のチャワン~ハルジャムクティ間(ブカシ線は通電等も始まっていないと思われ、試運転もまだ行っていない状況)の本線上に縦列駐車する形でずらっと並んでいます。これこそドローンで撮影したら迫力ある画になると思いますが、今回の事故で撮影はNGになるかも??

WhatsApp Image 2021-10-25 at 21.31.53
LRT JabodebekコンソーシアムSNSより
本線上にずらっと車両が並ぶ今だけの光景です

こんな無理な置き方をしていたら、いつかトラブルが起きるだろうとは薄々感じていましたが、まさかこのような重大事故になるとは・・・。問題なのは、この無謀な留置が続く限り信号システムを立ち上げられないことで、KAI在来線同じく、現在は完全にマニュアル、目視運転での試運転が続いています。信号保安が効いていないというのは、如何に恐ろしいことか、2015年のジュアンダ事故、そして今回と、身に染みて理解出来るはずなのですが、果たしてこの教訓が未来に繋がり、KAI在来線への保安装置導入のバネになれば良いのですが・・・。ならないんだろうねぇ、この国は。

DSC_0035_R
マニュアル運転用に駅には信号も設置されていますが、
閉塞を設けたら31本も置き切らないので、当然切ってあります

そんなわけで、今回の事故は自動運転中のシステムエラーによるものではありません。おバカなマスコミは日系マスゴミを含め、無人運転はヤバイだの時期尚早だのなんだの、的外れな批判をそのうち繰り返してくるのでしょうけど。


そして、予想通りまずKAIが身の潔白を主張しました
全てはINKAが悪い!!

DSC_0063_R
運転しているのはINKA作業員ですからね

実際のところは、INKA作業員の前方注意不足、規定違反が濃厚です。そもそも車両もシステムも未だKAIには引き渡されておらず、現在はINKA及び関連企業による試験が続いており、KAIがご立腹なのはごもっともです。根本的要因は本線上縦列駐車にあり、保安装置を作動させていないことにあるのは明らかですが、それにしても、先頭車両の破損ぶりには驚きを隠せません。ですから、当初私も、自動運転の試験が開始されたのか?と思いました。何故なら、先日の試乗の際に、日中の試運転は40㎞/h以下での低速走行、夜間に(車両を上下線のいずれか片方に寄せ、保安装置を作動or OCC立ち上げのうえ??)80km/hでの走行試験をすると言っていましたので、40㎞/hで仮に追突したのなら、流石にここまで派手に大破することはないでしょう。ちなみに、招待客を乗せる際には安全上の理由で10㎞/h以下での走行とのことで、私が乗った際にもそれは遵守されていました。しかし、通信切っているので高速で走っても別にバレないんだけどね、とボソっと関係者談。今思えば、これこそが事故の芽だったのでしょう。


謎の乗客が1名乗車との報道も
鉄ヲタの乗せたのかな?

ちなみに、当初関係者以外には誰も乗っていないとのことだったのですが、その後の報道で客が1名いたということが判明しています。どういう経緯で乗っていたのか定かではありませんが、こういう事故が起きて色々粗探しされてしまうと、今後ますます外部の人間へ対する門戸が閉ざされてしまいそうですね。当然、私は田舎にいるので、この1名ではありません。というか、ジュアンダ事故の当日も田舎の嫁の家にいましたし、重大インシデントが起きるとき、私はジャカルタにいないという法則があるようです。

WhatsApp Image 2021-10-25 at 19.24.25
そして夕刻、INKA側が全面に非を認め、
INKA社員の人為的ミスであると発表しました


INKAブディ ノヴィアントロ社長がオンラインで会見を開く異例の事態へ
とはいえ、報道陣の質疑には高圧的対応
悪いのは作業員で、トップは悪くないというのがインドネシアの伝統文化です

17:15からINKA公式YouTubeチャンネル上で、Zoom記者会見のオンライン配信が開始されました。この会見内で編成番号も明らかにされましたが、社長はINKA作業員の規定速度超過を認めました(具体的な速度に関しては明言なし)。また、同時に試運転を入れ替え運転に表現を改めています。その真偽は不明ですが、一旦、ハルジャムクティ駅先(ボゴール側)の引き上げ線に一旦引き上げた車両を上り線に転線させ、チラチャス方面に折り返し、試運転終了後の所定位置までの移動ということだったものと推測されます。まあ、現実には本線上を高速で走っていることには変わらず、入れ替え運転というよりも、普段の走行試験に近い状況で、前方留置中の車両に突っ込んだと見て間違いないでしょう(早く仕事を終わらせたかったのかな...)。曲線区間でもないのに、どうして作業員が前方の留置車両を見落としたのかは、調査されるべきとは思いますが。

ともあれ、動画内で社長が言っている通り、あくまでも試運転期間中の事故であり、今後改善に努める。そして、開業には影響はない(損傷の2本はINKAに返却し修繕)とのことで、車両撤去が完了次第、試運転も再開され、来年8月の開業へ向けて準備が進められていく模様です。また、Ts29, Ts20以外の被災車両はTs9(K1 1 20 25〜30)の3両、Ts12(K1 1 20 43〜48)の2両ということも明らかになりました。前回記事で紹介した通り、予備車が多めにありますので、まずは事故当該編成をお得意のニコイチ化して、開業時は29〜30本で回すことになるのではと予想します。とにかくも、早期にブカシティムールの車両基地が完成し、実際のシステム通りに試運転が始まることを願っています。

◆いつもご覧いただきありがとうございます◆
1日1回のTETSUDO.COMバナークリックにご協力お願いします鉄道コム

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット