DSC_0146
正にUの字型
Uシェイプギルダーの断面

先週公開されたLRTジャボデベック追突事故のまとめ記事、案外アクセスが来ているようで、事故ネタということで読者の興味をひいたというのもあるのでしょうが、やはりLRTジャボデベック自体の知名度が低く、それで読まれているというのもあるような気がします。事故については、その後当地で完全に禁句というか、報道規制されており、真相は闇の中に葬られました。それよりも2021年8月開業!!ボゴールまでの延長!!の提灯記事が連日流れてきています。事故はもう無かったことになっているようで・・・。




そんなわけで、事故をこれ以上追及してもしょうがないですし、インドネシアのことですので、どうせなるようになってしまう(これが何年たっても進歩しない元凶だよなぁ)のですから、別の話を。実は記事にJM(ジャカルタモノレール)との関係性もちらっと盛り込んでいたのですが、文字オーバーでバッサリ切られてしまいまいまして(笑) しかし、わざわざ撮影した画像があるのでこちらで供養しておきます。

今回はタイトルにある通り、「Uシェイプ」の話です。ご存じの通り、LRTジャボデベックのほぼ全区間に用いられている高架橋の工法です(正式名称はUシェイプギルダー)。なかなか見かけない工法ですが、そのはずで、インドネシアではLRTジャボデベックが初採用となっています。従来、道路高架橋ならばエ型桁の「Iギルダー」、鉄道高架橋は台形箱型桁の「BOXギルダー」が用いられてきました。なお、LRTパレンバン及びLRTジャカルタは主に道路用の「Iギルダー」を採用しています。

Capture
LRTジャボデベックの資料より

言わずもがな、KAIの高架(円借款の中央線区間、マンガライ駅問わず)、MRTの高架、バンドン高速鉄道は「BOXギルダー」です。文系人間ですので何とも詳細はわかりませんが、日本の人からすると「BOXギルダー」すら珍しいようで、こんな作り方をしているのか、ともよく言われます。現場で5mそこらの箱を吊り上げ、特殊クレーンを用いてブロックの如く繋げていくというのは、地震の多い日本では出来ない芸当なのかもしれません。「Uシェイプ」も現場で繋げていくというのは同じですが、20mを一気に吊り上げ、橋脚の上に載せるだけ(笑)のため、超短期完工を実現しています。要するところのユニット工法で、工場で大量生産して、夜のうちにトレーラーで現場に運んで、どんどんクレーンで吊り上げ連結していくというスタイルです。

DSC_0054_R
Uシェイプは橋脚間に1ブロック
まさにプラレールの如く設置していくのでとにかく早い!!
ちなみに、この隙間有りの状態がデフォルトだそうです

「Uシェイプ」は見るからに貧弱で、素人が見ても強度が低そうなのは明らかですが、そのために、橋脚の間隔が非常に短くなっています。置物となっている車体から判断しても20m弱でしょう。LRTジャボデベック、チカンペック高架道路、高速鉄道が並行する区間は、見ていて非常に楽しいのですが、LRTの橋脚間隔が短いのは明らかです(目算に過ぎませんが高架道路は40m弱、高速鉄道が30m弱といったところでしょう)。ですから、LRTジャボデベックの高架橋は景観を損ねる、また橋桁が安くても、橋脚だらけでチャラだろうと一部では批判が出ています。とにかくUシェイプはおフランスの技術ですので、プロジェクトを取り仕切っている某仏コンサルが推奨してきたのでしょうが、LRTジャボデベックは実のところ、Uシェイプ以外に選択肢が無かったという物理的な事情があるのです。

DSC_0495
カーブモジュールもなく、直線の橋桁で代用しているので
曲線部分がカクカクしています。当然隙間も大!!

それは、クリアランスの問題です。毎年鉄道技術エキスポで、上に貼ったクリアランスの図を見せつけられ、Uシェイプの優位性が紹介されていたのですが、道路上のクリアランスは結局どの工法も変わらないじゃないか!!と腑に落ちていなかったのですが、実は問題なのは高架上のクリアランスでした。先日、某氏とLRTの空撮をしに行ったときに初めてわかったのですが、特にチブブール側のほぼ全区間がハリム空港の規制区域に入っているのです。言われてみれば、高圧鉄塔が異様に低くなっており、改めて見てみるとその電線がLRTの上をかすめていることを、今更発見しました・・・。ボケっとしていてはダメですね・・・。一部区間だけLRTが掘割に入るのも、空港絡みの何か理由があるのでしょう。

DSC_0994_R
クニンガンの交差部
下がLRTジャボデベック

さらに、もう一つ、これまた気づくのが遅すぎるのですが、クニンガンのカサブランカ高架道との交差部です。2013年に開業したこの高架道、JMの建設を見越して設計されており、上下線間にモノレール橋脚を建設できるスペースが設けてあることは知っていたのですが、JMはそもそもクニンガンでブル―ラインとグリーンラインが交わる計画だったわけで・・・。LRTジャボデベックのラスナサイド通り区間はJMのグリーンラインを踏襲しており、一方のカサブランカ高架道はモノレール相当のクリアランスを残した高さで交差点を越えているのです。つまり、鉄軌道方式に変更されながら、モノレールの高さでここを通過する必要があったというわけです。

そう考えると、LRTジャボデベックの先祖とも言える国営モノレール計画にも、郊外区間においてハリム空港の制限区域対策という、合理的理由があったのかもしれませんね。

路線図JM併記
Open Railway MapにJM線と国営モノレール線他を加筆

DSC_1001_R
LRTジャボデベック、ラスナサイド駅脇に残るJMの橋脚

さて、マニア的に刺さるのは、やはりこれでしょう。ラスナサイド通り区間は、スナヤン~パルメラ駅間と並んで、JMが先行的に橋脚の建設を始めた区間です。今も所有は幽霊会社として存在し続けているJMですので、誰も撤去が出来ず、このようにお化けモニュメントと化して残存しています。これを見ると、LRTジャボデベックの高さはモノレールとほぼ同じにしてあることがわかります。クニンガンの交差部はもっと低いですけど・・・。この辺、コンサルの資料が横流しされているんじゃないでしょうかね(笑)

DSC_0983_R
それにしてもこの貧弱なモノレール橋脚を見るたびに
ドリームな未来を予感させます

来年、LRTジャボデベックが開業する頃には、おそらくインドネシアも本開国しているのでしょうから、是非、土木的視点からもインドネシアの鉄道をお楽しみください。こういうのが好きな人も案外多いのではないでしょうか。私はド素人ですから、ぶっちゃけ205系よりも重いLRT車両が、乗車率200%とかの状態で日々走行した時に、JMに負けず劣らず薄っぺらい高架橋が果たして耐えうるのかどうか、こればかりが気になってしまいますが・・・。乗車ご希望の方はお早目の来イを!!

おまけ
ジャカルタにやって来たJM向け予定車両(長慶モノレール)
DSC_0087
日立の技術で作られた中国北車(当時)の日本跨座式モノレール
今頃ジャカルタドリーム開発として走っているはずだったのですが!!
ブルーラインが出来れば本当に便利なのでJMには再起してもらいたいですよ(切実)

◆いつもご覧いただきありがとうございます◆
1日1回のTETSUDO.COMバナークリックにご協力下さい鉄道コム

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット