
「小規模な」脱線で終わるはずだったのですが・・・
12月5日12:20頃、スルポン線スディマラ駅構内にてパルンパンジャン発ボゴール行き回送電車(KLB D1/10519)が脱線、当該編成は205系埼京線ハエ25編成でした。この脱線事故の影響で、スルポン線は夜19時頃までスルポン~クバヨラン間で下り線を使った単線運転となり、この区間が長距離に及ぶことから上下線とも毎時1~2本程度と言う大規模な運休が発生し、買い物帰りの客で普段から賑わうタナアバン駅を中心に乗客で溢れ、大混乱の日曜日となりました。

全軸が脱線したモハ205-391の進行方向前方台車
言ってしまえば、年に1度や2度あるいつもの脱線で、大きな事故には至っていないのが幸いですが、この程度の脱線ならば数時間のうちに復旧され、事故の一報を受けて急行しても間に合わないという案件で済むはずなのですが、今回は復旧までに7時間近くを要したこともあり、KCIの対応にSNSを中心に非難が殺到しています。
ご丁寧に回送電車の列番までお知らせしてくれるのは良いのですが・・・
#InfoLintas Info lanjut dampak perbaikan rangkaian KA D1/10519 di Stasiun Sudimara:
— KAI Commuter (@CommuterLine) December 5, 2021
- Perjalanan KA jalur hilir Serpong-Kebayoran berjalan jalur kiri
- KA 2065 (Parung Panjang-Tanah Abang) berangkat dari Stasiun Serpong berjalan di jalur kiri
ご丁寧に回送電車の列番までお知らせしてくれるのは良いのですが・・・
というのも、KCIは脱線事故とお知らせせずに、公式SNSや運行アプリで「車両トラブル」ないしは「運行障害」とだけ表現。当初こそ、左側通行を行うこと、現在の列車の走行状況を案内していましたが、それも最初の1時間ほどで中止。その後はダンマリを決め込んでいました。まさか、7時間にも及ぶ輸送障害にはなると思っていなかったのでしょうが、駅でもほとんど案内が為されず、何も知らない乗客がどんどん駅に押し掛ける状況でした。私もタナアバンで乗り換えしようとしたところ、既に入場待ち列が改札近くまで伸びており、客とセキリュティの押し問答になっていました。当然、KCI駅員はひっこんでしまい事務所から出てくるわけがありません。セキリュティは声を荒げ初め、嫌なら外に出ろ!車を呼べ!!と罵声を上げだす始末。ここでは、車両トラブルが起きていることすら隠蔽されており、ステイホームしないで駅に来たお前らが悪いと、完全に客が悪者扱いに。相変わらず、言い訳探しに余念のない会社です。この前の、KAI創立記念日には、社内向けスローガンとして「No Anjilok」(Anjilok:脱線)と掲げている中のこの対応ですから、「脱線しない」ではなく、「脱線という単語を使わない」だけだろうと、SNSは大炎上。
こんな状況では、電車に乗れる頃には日が暮れてしまうと、パルメラワープを使って、先ほどタナアバンのホームに停車中だった電車に飛び乗り。その後の状況を見てみると、タナアバンで待っていたら本当に日が暮れているところでした・・・。スルポン線は、他路線と違って振替輸送も効かず、並行道路も全くない、ジャングルの中を突っ走る路線ですので、この手の障害が発生すると大変です。
そんなわけで、なんとかスディマラ着。既にタナアバン常駐のNR、通称ピカチュウが到着済。脱線当該はホーム先端から撮れる位置にいましたので、私を含め数名の鉄がささっと降りて撮ろうとすると、KAIの白服から撮るな!!の一言。脱線と拡散されては困りますからねぇ。隠蔽工作しか頭にないので、食って掛かってもいいことはありませんから、さっさと引き下がりましょう。

まあ、撮れたのでね
本当はもっと近づきたかったんですが

拡大するとこんな感じ
腕を掴まれたのでぶれました(笑)

踏切がカオスに・・・
こんな状況では、電車に乗れる頃には日が暮れてしまうと、パルメラワープを使って、先ほどタナアバンのホームに停車中だった電車に飛び乗り。その後の状況を見てみると、タナアバンで待っていたら本当に日が暮れているところでした・・・。スルポン線は、他路線と違って振替輸送も効かず、並行道路も全くない、ジャングルの中を突っ走る路線ですので、この手の障害が発生すると大変です。
そんなわけで、なんとかスディマラ着。既にタナアバン常駐のNR、通称ピカチュウが到着済。脱線当該はホーム先端から撮れる位置にいましたので、私を含め数名の鉄がささっと降りて撮ろうとすると、KAIの白服から撮るな!!の一言。脱線と拡散されては困りますからねぇ。隠蔽工作しか頭にないので、食って掛かってもいいことはありませんから、さっさと引き下がりましょう。

まあ、撮れたのでね
本当はもっと近づきたかったんですが

拡大するとこんな感じ
腕を掴まれたのでぶれました(笑)
脱線しているのは進行方向前方から6,7,8両目。モハ204-390の前方台車がまず脱線したようですが、あと数秒ブレーキが遅れていれば車体がホームに接触し、被害が拡大しているところでした。責任被されて、当該運転士のクビが飛ばないことを願いたいですね。
脱線現場の状況
↓が両軸脱線していた台車
↓が両軸脱線していた台車
今回、この列車がスディマラ駅副本線の3番線に入っていることで、おや?と思った人が多いかとは思いますが、これは車両差し替えのための回送電車だからです。乗務員交代の関係上、ボゴール電車区から送り込まれてくる回送と、パルンパンジャンから返却する回送をタナアバンで同時に入線させる必要があり、前者はパサールミングーで、後者はスディマラで時間調整を行います。それで今回、現ダイヤでは使用頻度が大幅に減少しているスディマラ3番線に入線し、その分岐器上で脱線したとされています。まあ、状況からして分岐器で脱線したのはほぼ間違いないでしょう。実際、その後KAIの調査員が分岐器をしきりに調査しています。

踏切がカオスに・・・
そして、今回の脱線事故の何がマズいかって、このように分岐器上、そして踏切上に停車していることです。このおかげで、単線運転区間がスルポン~クバヨランというあり得ない距離になってしまったこと(せめてスディマラが片渡りでなくシーサスだったら良かったのですが・・・)、そして、幹線道路の踏切が数時間に渡り、通行止めになってしまったことです。流石に天下のKAI、KCIでも道路を塞いだことはDISHUBと警察に頭を下げなければならないでしょうね。この辺もピリピリしていたことの要因ではないでしょうか。

モハ204-390にはどうやっても近づけず・・・
ジャッキアップの準備をしているのがわかります

こちら側からは人が多すぎて、ズームするにもちょい難しい感じ
いずれもコッソリ撮るしかないですしね;;

全軸が脱線したモハ204-391
全然関係ない話ですが、GMF整備のMGはロゴ入りなんですね

現場到着時には既に復旧していたモハ205-391の後方台車

MM'391の連結部
モハ204-301前方台車も復旧済

分岐部を調べる職員
今回、6ドア車は脱線対象外

救援にかけつけたNRピカチュウ

連結作業開始15:30
この単線運転問題と踏切問題を解消するには、スルポン側の3両をまずピカチュウで牽引し、スルポンの副本線か、パルンパンジャンの留置線に移動させることです。これならば1台車を復旧させ、事故後2~3時間以内にはとりあえず平常運行になる、はずだったのです。だから、結構急がないと、今回もピカチュウは撮れない・・・と大急ぎでカレットワープを決め込み、なんとか駆け込みセーフとなったのですが・・・、この先がまた長いことで・・・。実際、到着してみると、確かにそのような手配が取られており、スルポン側3両は切り離し&復旧済。これは素晴らしいタイミングで、ピカチュウの牽引を拝めるぞ!と、線路際の小道をスルポン方面に歩いたのですが、全くピカチュウが動かない・・・。いや、実際には少し引き出して、16時半頃にはようやく踏切部分を車が通れるように開放したのですが・・・。これでは、いつまで経っても上り線が開通しません。もう、日没も近いので諦めて駅戻ることに。

このままスルポン方面に発車すると思ったのですが・・・
17:00
すると、さっきまでピカチュウの後ろに3両だったはずが、4両に増えています。いつの間にかMM'391も復旧したのですね。いや、モハ204-390も復旧されています。普段ならば、輸送障害の解消が最優先で、とっくに配給されてもおかしくない状況なのに、何故??

こちらも脱線復旧完了
妻面にも特に大きな損傷は無いようです
ここからは、あくまでも推測ですが、KCIはピカチュウの使用料をケチりたかったのではないかと思います。現在KCI所有のNR、Djoko Tingkirは引き続きBalaiyasa Manggarai入場中で、このようにKAI所有のピカチュウ編成をやむなく、借用しています。当然、使用する分だけレンタル料が発生しますので、なるべくなら走行距離を短くしたいはず。当初の3両を先行的に移動させなかったのは、NRを極力使いたくないことの表れではないでしょうか。3両から4両に変わったのはユニットをバラしたくなかったんですかね。最悪、モハ204-390の復旧が遅れた場合は、4両をNRで移動して、残りの6両は自走なんて可能性もあったのでしょうか??
12月6日13時追記
何故、3両を先に移動しなかったのか
改めて見ると、3両を先に移動してもモハ205-391は完全に副本線側に入る前の位置に止まっていますので、本線上側に支障していますね。もし本線側が通過できてもクリアランスは完全に無しです。私もすっかりインドネシアマインドになっており見落としていました・・・。以前ならば、これで無理やり通していたかもしれませんが、昨年のカンプンバンダン脱線事故では6130Fの脇を強引にM33を通過させようとして、接触させる事故を起こしていますので、神経質になっていてもおかしくはないですし、それが正しい判断でしょう。4両先に切り離したとしても、モハ204-390が出発信号機よりも若干、スルポン側にはみ出していますので、それもアウトと判断が下されたのかもしれません。安全を優先すればするほど再開までに時間がかかるというのは仕方のないことですね。

発車するかと思いきや、何故か2番線に押し込むNR

2番線に停車中
出発信号を受ける為に一度駅に入れたのかとも思いましたが違いました
結局、モハ204-390も17:30過ぎまでに復旧されたため、その後18時過ぎに6両は自走で10両停止位置まで移動。4両はピカチュウに推進され17:30頃、一旦2番線へ(これ本当に謎な動き)。その後、再び3番線に移動し、10連を組成。18:30にようやく上り線が開通。とは言え、タナアバン側に送り込まれている編成が全然ないですので、スルポン線は終電まで大幅にダイヤが乱れての運行となりました。脱線した場所が悪かったというのもあるんでしょうが、ここまで手はずの悪い作業は初めて見た気がします。

撤収電の到着
NRはこの間に、何故かタナアバン方の分岐器の先まで推進走行
再び2番線に戻ってから、3番線へという不思議な動きを・・・
なお、当該のハエ25編成は、スディマラからNR連結状態(NRは非常用にぶらさがっているだけ)でタナアバンへ、タナアバンでNRを切り離し、完全自走でマンガライへ回送、ブキットドゥリ電車区に入区しています。大きな損傷はないようですから、車輪削正後運用復帰するものと思われます。
上り線運転再開後も脱線当該の分岐部箇所の調査が行われています
アンおばさんの投稿によれば安全部長のジャイアンも来ていたようですね
(日のあるうちには見かけなかった)

モハ204-390にはどうやっても近づけず・・・
ジャッキアップの準備をしているのがわかります

こちら側からは人が多すぎて、ズームするにもちょい難しい感じ
いずれもコッソリ撮るしかないですしね;;

全軸が脱線したモハ204-391
全然関係ない話ですが、GMF整備のMGはロゴ入りなんですね

現場到着時には既に復旧していたモハ205-391の後方台車

MM'391の連結部
モハ204-301前方台車も復旧済

分岐部を調べる職員
今回、6ドア車は脱線対象外

救援にかけつけたNRピカチュウ

連結作業開始15:30
この単線運転問題と踏切問題を解消するには、スルポン側の3両をまずピカチュウで牽引し、スルポンの副本線か、パルンパンジャンの留置線に移動させることです。これならば1台車を復旧させ、事故後2~3時間以内にはとりあえず平常運行になる、はずだったのです。だから、結構急がないと、今回もピカチュウは撮れない・・・と大急ぎでカレットワープを決め込み、なんとか駆け込みセーフとなったのですが・・・、この先がまた長いことで・・・。実際、到着してみると、確かにそのような手配が取られており、スルポン側3両は切り離し&復旧済。これは素晴らしいタイミングで、ピカチュウの牽引を拝めるぞ!と、線路際の小道をスルポン方面に歩いたのですが、全くピカチュウが動かない・・・。いや、実際には少し引き出して、16時半頃にはようやく踏切部分を車が通れるように開放したのですが・・・。これでは、いつまで経っても上り線が開通しません。もう、日没も近いので諦めて駅戻ることに。

このままスルポン方面に発車すると思ったのですが・・・
17:00

こちらも脱線復旧完了
妻面にも特に大きな損傷は無いようです
12月6日13時追記
何故、3両を先に移動しなかったのか
改めて見ると、3両を先に移動してもモハ205-391は完全に副本線側に入る前の位置に止まっていますので、本線上側に支障していますね。もし本線側が通過できてもクリアランスは完全に無しです。私もすっかりインドネシアマインドになっており見落としていました・・・。以前ならば、これで無理やり通していたかもしれませんが、昨年のカンプンバンダン脱線事故では6130Fの脇を強引にM33を通過させようとして、接触させる事故を起こしていますので、神経質になっていてもおかしくはないですし、それが正しい判断でしょう。4両先に切り離したとしても、モハ204-390が出発信号機よりも若干、スルポン側にはみ出していますので、それもアウトと判断が下されたのかもしれません。安全を優先すればするほど再開までに時間がかかるというのは仕方のないことですね。

発車するかと思いきや、何故か2番線に押し込むNR

2番線に停車中
出発信号を受ける為に一度駅に入れたのかとも思いましたが違いました

撤収電の到着
NRはこの間に、何故かタナアバン方の分岐器の先まで推進走行
再び2番線に戻ってから、3番線へという不思議な動きを・・・
Malam ini saya ke Stasiun Sudimara. Saya yakinkan bahwa lintas Rangkasbitung - Tanah Abang telah dapat beroperasi normal kembali. Pengukuran2 dilakukan agar perjalanan kereta api aman, lancar, dan terkendali. @KAI121 @keretaapikita @CommuterLine @annepurba @jalur5_ @AnkerTwiter https://t.co/zeSUfjBAv6 pic.twitter.com/QOTWHp5t8R
— Didiek Hartantyo (@mas_didiek) December 5, 2021
上り線運転再開後も脱線当該の分岐部箇所の調査が行われています
アンおばさんの投稿によれば安全部長のジャイアンも来ていたようですね
(日のあるうちには見かけなかった)
◆いつもご覧いただきありがとうございます◆
コメント
コメント一覧
あれではどんな列車も脱線しますよね
何も分かってない鉄道会社の上層部は
これからどんな対応するのでしょうかね?
何十年もこの状態で走らせて何も起きなかったのだから、特に何もしない、で終わりそうですが。
> この脱線事故の影響で、スルポン線は夜19時頃までスルポン
> ~クバヨラン間で下り線を使った単線運転となり、
この場合の信号って、どうなっているのでしょうか?
かつての湖西線のように、単線運行を考慮した信号機が設置されている?
それとも、通票を持ち出す?
> 全軸が脱線したモハ204-391
> 全然関係ない話ですが、GMF整備のMGはロゴ入りなんですね
GMFって、何の略称ですか?
まさかGaruda Maintenance Facilityじゃないですよね?
インドネシアの複線は諸外国同様、単線並列扱いですので、一部の例外を除き信号扱いのある駅では上下方向どちらにも出発可能です。ただ、閉塞信号は基本的にないので、1駅(信号所)1閉塞になりますね。
GMFはGaruda Maintenance Facilityです。2014年だか2015年だかの協定締結時に、だいぶ前ですがマンレポで紹介していたと思います、KCIの公式リリースも残っていればWebから見れますよ。飛行機にもMGが載っているので、鉄道用のメンテも出来るだろうと言う考えです。
> 信号扱いのある駅では上下方向どちらにも出発可能です。
それは知りませんでした。
> ただ、閉塞信号は基本的にないので、1駅(信号所)1閉塞になりますね。
これは複線区間を単線運用して、通常とは逆方向に走らせる場合の話なのでしょうか?
それとも通常の複線運用時にもそうなのでしょうか?
> 飛行機にもMGが載っているので、鉄道用のメンテも出来るだろうと言う考えです。
飛行機にMGが載っています?
飛行機の電力は、エンジンに搭載された発電機から賄っています。
元が交流なので、機内で必要な電力は変圧器で降圧すればよく、MGに頼るケースが思いつかないのですが。
あとMGは重いし。
スルポン線は未だにオランダ時代のままの1信号扱い駅1閉塞の手動閉塞ですので、通常も閉塞信号機はありません(準備工事?で設置されているところもありますが実際に運用はされていません)。地方線区と同じく、前駅の出発を受けるとキンコンキンコンの電鈴が鳴ります。ただ、他の自動閉塞区間も単線並列に対応しているのは変わりません。
飛行機でMGと呼んでいるのかはわかりませんが、電動発電機と同じ構造を持つものがあるようです。それでメンテナンスを請け負っているという話です。飛行機の構造は詳しくないので、それ以上詳細はわかりませんが。