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今だけ限定、架線下DCも撮っておかないとマズイか?
画像は3月下旬撮影

8月1日、KCI(Kereta Commuter Indonesia:インドネシア通勤鉄道)はジョグジャ近郊地区及びスルポン・バンテン線全線に営業区間を拡大しました。2017年10月の社名変更以来、着々と準備が進められ、2020年1月の年間経営計画発表会により明らかになっていた南本線クトアルジョ~ジョグジャ~ソロ間およびスルポン線(バンテン線)末端部、ランカスビトゥン~ムラク間のKAIからKCIへの一部運営移管ですが、ついに実現のときを迎えました。8月1日より、同区間の普通列車(快速PRAMEKS含む)は全てKCIによる運行となっています。つまり、今後、ジャカルタからムラクまで、改札を出ずにタッチアンドゴーでそのまま乗り通すことが出来るようになるのです(現在は自動改札が未設置のため、従来通りランカスビトゥンで改札を出て、切符を買い直す必要があります)。今回は、そのうち、特に変化が激しすぎるジョグジャ地区を見てゆきましょう。当然、Suicaと同じですので、KMTのエリアを跨いでの利用は出来ませんので悪しからず・・・。




今年2月初旬、クラテン駅での鍬入れ式(架線柱設置)からわずか8か月で完成とは驚きです
コロナによる夜行列車の運休、日中の大幅運休も後押ししましたね

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その後3月に訪れると既にクラテン~ソロ間の大部分に架線柱が
立ち始めるという驚異的なスピードでした

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逆にジョグジャ~クラテン間はこれからといった感じでしたが、
先行開業するのがジョグジャ~ソロとはこれ如何に!?
おそらくプルウォサリ~ソロ及び複雑なソロ構内の工事が遅れていると推測

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屋根の低いジョグジャ駅構内は鋼体架線を採用、9月下旬の最新情報を頂きました
真横に客車への給水用配管があるのですが見なかったことにします・・・
撮影:アダムっち

政治的な横やり、そしてコロナウイルスさえなければ、同区間にも日本形車両が運行を開始し(ファディラ前社長は在職時代、ジャカルタ外へも日本からの中古車両導入することを発言しています)、今頃日本人鉄ヲタの中でもジョグジャ&ムラクフィーバーが起きていたはず・・・。結局、来年以降の中古車両調達の目途が立たないこと、そもそもジョグジャ地区に至っては、10月1日までに電化工事が間に合わなかったことから、当面の間はKAIから従来の気動車(ジョグジャ地区)、また機関車・客車編成(ムラク)をリースして運行します。

・KCI移管で何が変わったの?
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このチケットはレア貴重になる可能性大!!
画像提供:BOO電車区S様

今回のKCIの営業区間拡大について、8月1日にジョグジャカルタ駅にて記念セレモニーが実施されているものの、公開が行われていません。地元ジョグジャのメディアすら報じていないという、異例の事態であり、やはり政治的な配慮(特に公共交通に関心がないとか何とか言われているジョグジャ王朝への?)がなされていることを匂わせます。一般客からすれば、従来と何が変わったのか、ほとんどの人が気づきすらしないレベルの変更ですが、昨日の記事でも紹介した通り、感熱紙チケットがKCIの地紋入りに変更されているほか、駅入り口がKCIの新ロゴ、KAI Commuterに変更、切符売り場の意匠もジャカルタと同様のものに統一されています。マニアックなところでは列車に乗務する公安要員がお国直轄の鉄道警察隊(POLSKA)から、ジャカルタでお馴染みの民間セキリュティ会社委託のPKD(Polisi Khusus Daerah)に変更となり、腕章にもCommuterロゴが入るようになっています。また、自動改札機も既に設置され、式典ではKMTのデモンストレーションが為された模様です。一般報道は全くないものの、社長ブログによると、10月中旬にジョグジャ~クラテンの先行電化開業、その後12月にジョグジャ~ソロの全区間が電化される予定とのこと。


10月3日なってようやくコンパスから記事が上がってきました
鉄道ネタにしては珍しくマトモなしっかりとした記事ですので、是非ご一読を

なお、上の記事を見ると、KCIジョグジャ事業部はKAIの支社区分と同じく、KCI第6事業部と呼ばれていることがわかります(つまり、ジャカルタは今後KCI第1事業部になるわけです)。KCIは今後も各地方都市での運営拡大を目指していますので、遠い将来にはKCIにも第2事業部や第4事業部が登場することになりそうです。また、ジョグジャ~ソロの電化開業時期は2020年12月~2021年1月頃とまた揺れていることがわかります。工事の進捗次第といったところでしょうか。KFW電車の投入本数は予定通り10本で、ジャカルタより早い90㎞/hでの運行。停車駅を現状通りとすればジョグジャ~ソロは特急同様に1時間程度になるでしょう(記事内で56分とあるのは特急の所要時間の誤植で、快速は1時間15分とかがデフォルトです)気になる部分としては今後、クトアルジョからさらに西へ進みクロヤまでの電化計画があるということ。まあ、ここは予算次第で、出来たとしても10年先ですね。

・フェリカがジョグジャ地区にも進出!!

ジョグジャ電化開業記念KMT powerd by Felica
これ即日完売確定じゃん・・・
社長ブログより

現状はオペレーションがKCIに移管されたものの、チケット購入及び乗車方法は従来と変わらず、KAIのKAI Acsessからオンライン購入が可能。かつ、引き続き悪名高い乗車定員制を採用しています。もっとも、これは電化開業までの暫定的なもので、早ければ今月中までにジャカルタと同じ、IC券でのタッチアンドゴーに変更されます。ある意味、KCI地紋入りのPRAMEKSチケットでレアな存在な訳。こりゃ、来週にでもスクランブル発進しなければならないか?前回のジョグジャ訪問が国内移動制限がかかる直前の3月下旬とは・・・全くコロナには困ったものです。今年はジョグジャがアツいと言っておきながら、まさかの事態。マジで危ない中国製Rapid Testを回避して、こっそり夜行バスで行くしかないかな・・・。

・運行体系はどうなる?
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暫定的にKAI Acsessからまだチケット購入の出来るPRAMEKS
PSBB規制緩和の流れで全列車運行再開し、さっそく売り切れの列車も
圧倒的な輸送力不足が明らかです

気になるのは当面の間のオペレーションです。8月1日にダイヤ改正が実施されたわけでもなく、クトアルジョ~ジョグジャ~ソロ間は引き続き快速PRAMEKSが細々と運行しているのみ。おそらくですが、12月の正式電化開業までは、PRAMEKSは現状の運転本数を維持(ジョグジャ~ソロ10往復)しながら、ジョグジャ~クラテン間を恒例のUJI COBA OPERASIとしてKFW使った電車をこれまた日に10往復程度運行するのではないでしょうか。つまり、当面の間は気動車と電車の競演が見られる(チケットもジョグジャ~クラテンの電車限定でKMT化、ソロまでは引き続き乗車定員制か?)ということです。12月?の正式開業以降は全て電車となり、運行頻度もアップ、乗車定員制も当然撤廃されます。余剰となった気動車は当面非電化のまま残るクトアルジョ~ジョグジャ専属、あるいはムラクに転出となり、電車に接続する形で若干増発となります。同一会社なのですから、運賃はクトアルジョ~ソロで一括計算、改札を出ずにそのまま乗り継ぎを出来るようにするでしょう。さすがに乗車定員制は撤廃しますよね?

・KFW電車はまもなくジョグジャ地区へ配給!!
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KFWの再始動も近い!!

なお、ジャカルタ地区で試運転を繰り返していたKFWは9月末までに全ての試験走行を終了し、まもなくクラテン電留線へ配給される予定です。本来であればTs9が先にクラテンに配置され、こちらで2000㎞試験を実施予定でしたが、電気関係の工事が遅れている関係で、引き続きBalaiyasa Manggaraiで留置されています。10月中旬の暫定開業までに2000㎞試験を実施できないことから、やはりUJI COBA OPERASIで客を乗せながらの走行試験が濃厚です。また、Ts3は既にジャカルタで2000㎞試験を終えていることから、予定変更で2本併結での配給で施行になるのではないでしょうか。ついにジャカルタで撮れなかった(結局例の1日のみでした…)8連走行がジョグジャで見れることを期待しています。

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クラテン駅の有休ヤードが電留線に転用されます
この他、ルンプヤンガン、プルウォサリのヤードも将来的に車両基地として活用される予定
メンテナンス対応はINKAに丸投げか?

・KAI運行の普通列車(空港快速)との兼ね合いは?
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今年2月頃からクラテンまでの延長運転をしていたソロの空港快速
コロナ禍でそのまま消滅

さらに気になるのは昨年から今年にかけてデビューした、ジョグジャ、およびソロの空港快速です。今頃本格的な運行に切り替わってしかるべきですが、コロナの影響をもろに受け、前者は日に2往復が残るのみ、後者については全列車運休の憂き目にあっています(せっかく新線作ったのに・・・)。特にジョグジャの空港連絡快速エアポートYIAは運転区間がKCI区間ともろに被っており、ウォジョ~新ジョグジャ国際空港間の新線が完成しない限りは、もはや運行の意味がありません。それともKAIがでっぱり部分のクブメン利用者救済の名目でクブメン~クトアルジョ~ウォジョ~ジョグジャで定員制快速を引き続き走らすのでしょうか(クブメン延長は自治体からの要請的なところもあるからなぁ)。昔のスルポン線みたいにIC券と紙券併用というわけのわからんことになるかもしれません。なお、ソロ側の空港快速は新線を敷いているだけに廃止はあり得ませんが、乗車率低迷の打開策としてクラテン延長を実施していましたが、コロナ禍で3月以降全列車運休になっていますから、ソロ~クラテンの延長はそのまま幻として消えそうです。

・今後の電化計画は?
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風光明媚なクトアルジョ~ジョグジャ間にもまもなく架線柱が立ちます
多くの有名撮影地が連なっているだけに現地ヲタも頭の痛い問題です
そうだ!ACCUMを入れよう!!(爆)

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新ジョグジャ国際空港駅改札前
通路だけは立派だが・・・

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駅本体はこれから・・・
3月下旬の撮影のため、今はもうだいぶ出来上がっているかも!?

なお、ジョグジャ~ソロ(バラパン)間の電化完成後も、電化工事は引き続き行われます。既に1期工事の延伸分としてソロ(バラパン)~ソロ(ジェブレス)の工事も始まっているほか、クトアルジョ~ジョグジャもまもなく着工します。さらに、現在建設中の新ジョグジャ国際空港~ウォジョ間も電化予定です。コロナがなければ非電化でまず開業していたのでしょうが、開業遅れ次第では当初から電化開業となるかもしれません。なお、電化・非電化に関わらずジャカルタでの失敗を教訓として、空港線もKCI区間となる予定です。ソロ空港線も今になって電化したい云々言っているようですが、アンダーパスのトンネル断面問題もあるでしょうから、こちらはだいぶ後になるでしょう(今のところKCI移管の予定はなく、乗り継ぎにはいったん駅を出なければならない構造で、スディルマン~スディルマンバル問題が発生しています)。しかし、長い目で見るとジョグジャ~ソロの両空港を結ぶ立派な線区になるわけです。当面の間(ジョグジャ~ソロ)はKFW10本で十分回せますが、ジョグジャ空港線の分も考えると、少し足らない印象。だからこそ、E217という話だったはずですが、果たしてどうなるでしょうか。前ファディラ社長の言うところの旧型車の地方転配が生きている(ジョグジャ国王の許可が下り次第?国王忖度で今回の報道も入れさせなかったのか??)のであれば、メトロチョッパ車のジョグジャ進出こそ果たせなかったものの、スタトラー電車の導入による玉突き転配で205系がジョグジャの青空の下を快走する未来は十分あり得るでしょう。なお、ランカスビトゥン~ムラク間については当面電化予定はないため、将来的にはジョグジャ地区から転出した気動車ないしは、新たに導入する気動車での運行となる予定です。KCIとしてはKAI/運輸省からのリースではなく、将来的には自前で保有したい意向ですので、今後、どのような車両の顔ぶれになるか、楽しみです。

ますます目の離せなくなってきたジョグジャカルタ地区、そしてジャカルタ近郊で再び気動車旅が実現する可能性のあるバンテン線末端部、いよいよ目が離せなくなってきました!!在宅勤務を悪用し、しばらくジョグジャの安宿にでも身を潜めましょうかね。

◆いつもご覧いただきましてありがとうございます◆
長い割に一般鉄ヲタには全く見向きもされない内容ですので、
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