
国鉄本線上を行う蓄電池式LRT車両
撮影:Dailyjuna様
ジョグジャ地区でのKFW試運転が注目される中、INKAマディウンから新たな車両がお目見えしています。数年来に渡って開発が進められていた蓄電池式LRT車両で、マディウン~ババダン間1駅間を低速で往復する試運転を両日1回ずつ実施しています。当初、LRT Jabodebek向けモックアップ?と目されていたこの車両ですが、当然のごとくそちらは高床式が採用され、その後、2~3年間に渡りこの車両の動向は謎に包まれていました(2月にINKAを訪問したときも見せてもらえなかった・・・)。

まるで富山港線の如く・・・ですね
撮影:Dailyjuna様
それがこのタイミングでINKAが試運転を実施したというのは何やら意味がありそうです。というのも、INKAでは同じく蓄電池式の電気バスを10月に落成し、現在バリ島で試験運行を始めたばかりというタイミング。ジャワ島管内では一時、LRTブームと言われるほど各地で建設計画が浮上しましたが、最有力候補とされていたバンドン、スラバヤが、いずれも市長が公共交通反対派であるため、結局白紙に戻ったため、INKAとしてもそのまま開発を進める意味が無いという部分もあったのではと思います。
それが今、コロナ禍で大打撃を受けているバリで今後の観光客の呼び水にしようと、今更ながら公共交通整備を求める声が高まっています。そして、これに応じるようにINKAとKAIはそれぞれ別にバリ州にシステム提案を行っており、INKA vs KAIの因縁の戦いが始まろうとしています。INKAは例の電気バス及び蓄電池式低床LRT、KAIは前エディ政権時に中国中車と覚書を結んでいる線路敷設の不要なゴムタイヤ式低床LRT(当初はバンドンに導入予定がポシャったため、急遽バリに入れることになったのではと予想)を導入を提案しており、バリがどちらを選ぶのかに注目が集まっています。
しかし、このINKA製の蓄電池式LRTには課題が山積です。素直に中国製で揃えてしまえば良いものの、試験段階ではまだ国産品に頼っているのか、バッテリーが巨大すぎて旅客用座席スペースの半分弱を占めています(片側1両はほぼバッテリースペース)。しかも、それでいて1回の充電(3~4時間)で25㎞しか走行出来ないというのですから、全く実用化出来るものではありません。また、設計最高速度は80㎞/hとのことですが、今回は15㎞/hでの走行に限られています。
INKA公式動画はこちらから
車体はご覧の通り、連接式の2両編成で全長は27mほど。ドア付近のみが低床の正式には部分低床車です。気になるのは連接台車がどのような構造になっているかで、忌まわしきレールバスで採用された、なんちゃって連接台車のような気がしてなりません。運転台脇にはワンマン運転用の監視カメラが設置されています。
とにかくバリ島はじめ、インドネシアの観光地という観光地の移動は、言い値ボッタクリ価格の車を借り上げない限り足が無いというのが最大の問題(Gojek,Grabの二大配車アプリの台頭で劇的に改善していますが)ですから、果たしてINKAが勝つか、KAIが勝つか、それとも両方とも導入されるのか、非常に楽しみな展開です。いつ完成するかわかりませんが、まあそのときにはバリに行ってみましょうか。
それが今、コロナ禍で大打撃を受けているバリで今後の観光客の呼び水にしようと、今更ながら公共交通整備を求める声が高まっています。そして、これに応じるようにINKAとKAIはそれぞれ別にバリ州にシステム提案を行っており、INKA vs KAIの因縁の戦いが始まろうとしています。INKAは例の電気バス及び蓄電池式低床LRT、KAIは前エディ政権時に中国中車と覚書を結んでいる線路敷設の不要なゴムタイヤ式低床LRT(当初はバンドンに導入予定がポシャったため、急遽バリに入れることになったのではと予想)を導入を提案しており、バリがどちらを選ぶのかに注目が集まっています。
しかし、このINKA製の蓄電池式LRTには課題が山積です。素直に中国製で揃えてしまえば良いものの、試験段階ではまだ国産品に頼っているのか、バッテリーが巨大すぎて旅客用座席スペースの半分弱を占めています(片側1両はほぼバッテリースペース)。しかも、それでいて1回の充電(3~4時間)で25㎞しか走行出来ないというのですから、全く実用化出来るものではありません。また、設計最高速度は80㎞/hとのことですが、今回は15㎞/hでの走行に限られています。
#UjiCoba #Prototipe #TramBaterai
— PT INKA (Persero) (@ptinka) November 10, 2020
.
Tanggal 9-10 November 2020 PT INKA (Persero) mulai melakukan pengujian prototipe Tram Baterai di jalur kereta api umum dengan perjalanan pulang pergi (PP) dari Stasiun Madiun ke Stasiun Babadan. pic.twitter.com/1zcs5xywTy
INKA公式動画はこちらから
とにかくバリ島はじめ、インドネシアの観光地という観光地の移動は、言い値ボッタクリ価格の車を借り上げない限り足が無いというのが最大の問題(Gojek,Grabの二大配車アプリの台頭で劇的に改善していますが)ですから、果たしてINKAが勝つか、KAIが勝つか、それとも両方とも導入されるのか、非常に楽しみな展開です。いつ完成するかわかりませんが、まあそのときにはバリに行ってみましょうか。
◆いつもご覧いただきありがとうございます◆
1日1回のTETSUDO.COMバナークリックにご協力お願いします
1日1回のTETSUDO.COMバナークリックにご協力お願いします



コメント
コメント一覧
2点ほど教えて下さい。
> ジャワ島管内では一時、LRTブームと言われるほど各地で建設計画が浮上しましたが、
> 最有力候補とされていたバンドン、スラバヤが、いずれも市長が公共交通反対派で
> あるため、結局白紙に戻った
公共交通に反対する理由は何でしょう?
交通渋滞の対策は何か打ち出していますか?
> INKAとKAIはそれぞれ別にバリ州に(LRTの)システム提案を行っており
以前どこかで、バリの空港からサヌールまで鉄道を敷設する、というニュースを
読んだ記憶がありますが、これとの関連はあるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
バンドンはKAIのLRTのみならず地元企業が提案したメトロカプセル等々、様々な都市鉄道計画が持ち上がりましたが、いずれも現状白紙と聞いており、市は道路のフライオーバーやバイパス道路建設を優先するとしています。渋滞緩和には道路整備の方が手っ取り早いと考えられているのが最大の理由でしょう。実際、バンドン市内の道路は脆弱すぎますので、その上にLRTを走らせればさらに渋滞が悪化するのは明らかで、道路整備を優先するのも一理あります。
スラバヤはモノレールとLRTを東西南北に引く計画を立てましたが、あれも止まってしまいましたね。元来、スラバヤはインドネシア第二の都市ながら、公共交通整備に無関心な都市で、スロボヨバスなんてのを貧困層へのパフォーマンス的にやっていますが、全く意味のない政策です。既存KAI路線があるにも関わらず、Commuter運行すらさせないのですから。まあ、スラバヤはそんなに渋滞がないというのも大きいかもしれません。
地方自治体が公共交通に反対するのは、運行補助金の負担を嫌っているというのが大きいでしょう。それにそもそもの建設費、それに既存のヤクザ的なアンコタ、ミニバス業界との兼ね合いもあるでしょう。政府だと土建屋とのしがらみ(引退しましたがユフスカラが代表格)が大きいでしょうが、市レベルではそんな感じではないでしょうか?
バリの空港アクセス鉄道は確かKAIがセールスしていたと思います。現地記事に上がってますので、インドネシア語で検索すれば出てくると思います。これも普通鉄道ではなく、LRTだったと思いますよ。
回答ありがとうございます。
地方自治体が公共交通に反対すると書かれていたので、何で反対? と思ったところです。
反対と言うより、消極的なのですね。
確かに地元のプレマン対策や、既得権益との調整など、やりたく無い理由はたくさん
ありそうです。
> 既存KAI路線があるにも関わらず、Commuter運行すらさせない
> スラバヤはそんなに渋滞がないというのも大きいかもしれません。
いやあ、そんな事は無いでしょう。
もう10年くらい前に、「コミューターを走らすと踏切が閉じて渋滞が酷くなるので反対だ」
という記事を、たぶんじゃか新で読んだ記憶があります。
スラバヤこそコミューターついでに空港鉄道も簡単に開業できると思うのですが。
バリの方はググってみました。
確かにKAIがセールスをかけているようです。
ただどの記事にも、「Kereta Tanpa Rel」なる言葉が出てきて、何?
更にググってみると、
レールなしで道路を自動走行--鉄道のようなバスのようなEV、中国CRRCが開発
https://japan.cnet.com/article/35103326/
という日本語の記事に当たりました。
インドネシアのメディアで用いられている写真も、ソースはその中国のものでした。
併用軌道でレールも敷設せずに走らせる事ができるので、建設費が安くなるのが
ミソのようです。
しかし、空港からサヌールに走らせると言う事は、あの激渋滞のバイパス上を
走らせるという事ですね。
まさか専用軌道にはしないでしょう。
それなら連接バスでいいじゃないか。
いや、それ以前に現状のサルバギータのバスはガラガラで走っているのに。
インドネシアらしい内容でした。
それにしてもKAIが営業を掛けるという事は、中国から輸入したものを販売して
終わりな感じですね。
>もう10年くらい前に、「コミューターを走らすと踏切が閉じて渋滞が酷くなるので反対だ」という記事を、たぶんじゃか新で読んだ記憶があります。スラバヤこそコミューターついでに空港鉄道も簡単に開業できると思うのですが
そんな記事も出ていましたね、確か。まあ、そんな主張が出るくらいスラバヤは公共交通整備にやる気がないのです。わざわざ金かけてモノレールだのLRTだの作るくらいなら、まずはKAIのCummuterを増やせ、です、だいたい、多くても15分に1本やそこらですから、だったらジャカルタの踏切は何なんだと言いたいですね。
>バリの方はググってみました。確かにKAIがセールスをかけているようです。ただどの記事にも、「Kereta Tanpa Rel」なる言葉が出てきて、何?
記事内にも書いている通り、レールの不要なゴムタイヤ式LRTです。道路上の白線を認識してその上を走行します。見た目は通常のLRTと大差はありません。この車両をKAIとCRRSで協力覚書を結んでいますので、丸々輸入することになりますね。