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乗客獲得に余念がありませんが、果たして効果は?

どれほどの需要があるのかわかりませんが、ジャカルタ首都圏でネタが枯渇しておりますので、引き続きのメダンネタをお送りします。Railinkメダン空港線では今年5月頃より、メダン~バンジャイ間の普通列車(コミューター)との乗り継ぎ割引、というか普通列車区間の運賃無料キャンペーンを実施しています。せっかくですので、先日訪問の際にはこの割引制度を使ってみました。




なお、名前だけ聞くとさぞかし安くなるのかと思いますが、この普通列車の運賃はわずか5000ルピアですので、日本円で50円にも満たない金額です。これをタダにしたところで何になる?と言った感じですが、やることに意義があるインドネシア、あの手この手で乗客を確保したいという気持ちだけは伝わってきます。ちなみに、本来の空港特急運賃は競合バスが存在しないことから、ジャカルタ、スカルノハッタよりも高い100000ルピア!!(距離も所要時間も断然短いのに!!)とかなりお高いですが、空港アクセス道路の整備、そして折からのコロナ禍での需要減で、もはや半値プロモの50000ルピアがデフォルトになっています。

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クアラナム空港では、バッゲージクレーンを抜けて空港到着ロビーに
出た目の前に空港特急券売機が設置されており、スタッフが客引きを行っています

クアラナム空港は国際空港ながら、非常にこじんまりとした作りで迷う心配もありません。ロビーに出たところでチケットを発売しており、駅も目と鼻の先。スカルノハッタもこうなっていると便利なんですけどねぇ。早速、ここでチケットを購入。もちろん、現金払いには対応しておらず、やり方はスカルノハッタと全て同じです。

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ただし、空港内に鉄道駅の案内は一切なし

ただ、気になるのはご覧の通り、Railway Stationのサインが全くないことです。もちろん、出口まで一本道なので、わざわざ案内ないしない方がわかりやすいという、インドネシア流おもてなしなのかもしれません。ああ、よく見ると、Transportasi Umumとは書かれているので、鉄道もこれに含まれているという認識なのでしょう。ジョグジャ、ソロ、ジャカルタでは、これとは別に鉄道駅の案内がありますが、動線が異なるから、ということなのでしょうか。

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出口、車寄せを突っ切って、鉄道駅の案内が現れます

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入った先を上から俯瞰

ただ、ここで注意しなければならないのは、スカルノハッタよろしくこの中央の円形テーブルに進んでしまうと、定額タクシーに載せられてしまいます。Tiketingとあるので、空港鉄道の切符売り場と勘違いしますが、これはタクシー窓口です(ダムリバスはないみたいですね)。もっとも、先ほどの券売機でチケットを買っていれば問題ありません。

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空港鉄道の券売機は壁側にひっそりと並んでいます
このあたりのレイアウトもスカルノハッタそっくりです

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自動改札もスカルノハッタと同じ。

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乗車
一歩車内に踏み込んだ瞬間漂う韓国臭
韓国式の低い座席背もたれの為、車内がINKA車に比べ開放的に見えます

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乗り継ぎ割引のご案内

ここで、ビンジャイまでの乗り継ぎ割引の適用方法を紹介します。空港から向かう場合は簡単で、メダン到着後、空港線のインフォメーションカウンターで、空港線チケットを見せて、ビンジャイ行きのチケットに交換するだけ。ただし、逆は少々煩雑で、ビンジャイ~メダンの5000ルピア乗車券購入後、ビンジャイ駅又はメダン駅の空港線インフォメーションカウンターで、45000ルピアの特別価格で空港線チケットを購入するというシステム(つまり、事前にネット予約した場合、ビンジャイ→空港方面の割引は適用外・・・)。自動券売機での対応が出来ない為、このとき、どのように45000ルピアを支払うのか、それともお釣りの5000ルピアだけ現金で受け取るのか非常に気になりますが、残念ながら他にこの乗り継ぎ割引をしている人がおらず、観察することは出来ませんでした。

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メダン駅の空港線カウンターにて

そんなわけで、メダン到着後、さっそく空港線カウンターに直行してみました。空港特急、スカルノハッタに比べれば乗客はほどほどに乗っていましたが、乗り継ぎ割引をやる人はゼロ。そもそも駅には案内も出ておらず、知る人ぞ知るという感じです。案内スタッフも、一瞬え?という顔をしながら、慣れない手つきで対応していましたので、ほぼ認知されていないのでしょうね・・・。で、空港線チケットをここで回収されたのはわかるのですが、ここで少々お待ちくださいとのことで、スタッフは隣の駅舎にあるKAIの切符売り場に走っていきました。なんだ、常備券を貰えると思っていたのに、結局いつもの感熱紙かよ・・・。なお、空席がある場合、ビンジャイ行きの列車は選べるようです。ホテルに荷物を置いてから、再度出発というテクニックも使えそうですね。数分後、やっとスタッフが戻ってきて、いつもの感熱紙チケットを貰って、乗り継ぎ手続きは完了、なんともまぁ、原始的なやり方でしたね。これが何人も殺到したらどうするんでしょう・・・(いや、そもそも想定されていないか・・・)。

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連絡通路を渡って、KAIの駅舎へ

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乗り継ぎ利便性を考慮して、ビンジャイ行きコミューターのみは
一旦駅舎を出ずに乗り継げるようになっています

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メダン駅はインドネシアでは珍しい大衆駅になっており、
1番ホームは駅ビルの一階に位置します
コミューター以外の改札は、画像中央奥の地平改札です

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乗り継ぎ時刻表

なお、もともと乗り継ぎが考慮されていたわけでもないので、このように接続時間はまちまちです。好評ならば、次のダイヤ改正で繁栄ということもあるのかもしれませんが、この状況を見る限りダメでしょう。さて、気になるのはビンジャイ行きのINKA製液体式のKRDIですが、この案内ロゴに反して、やってきたのはBB303牽引の客車列車。聞くところによると、もう長い間KRDIは故障しており、客レ代走とのこと。少なくともこのキャンペーンが開始されたときには、KRDIは使われていなかったわけで、すっかり騙されました(笑)もちろん、BB罐はジャワ管内では既に本線走行禁止(運輸省試験を実施していない為)となっており、BBが牽く客車は貴重な存在です。先日、スマトラにCC205の増備車がアメリカ本土から到着し、今年度36両導入とのことで、玉突きでCC201がパダン、メダンに転属してくると予想され、余命僅かな状態です。見たところ、中・長距離急行はほぼCC201に置き換えられており、スマトラ第一地域事業部管内では最後の営業列車に近い状態です。

路線図メダン
メダン近郊路線略図

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折り返し、機回し中のBB303

ただ、残念なのはメダンもビンジャイもホーム有効長いっぱいいっぱいで、ロクに撮影出来なかったことです、とは言え、これだけの為にもう一度行くとも考えられず、これがおそらく私の中でのお別れでしょう。列車はゆっくりと、メダン市街地のスラムの中、そして畑の中をひた走り、わずか1駅のチョン行ながら、21㎞を走って終点ビンジャイ着。かつては停留所が3駅ほどあったようですが、この沿線風景を見ると復活はあり得ないでしょう。このあたりはジャワ島の地方都市とは比べ物にならず、近郊区間の活性化は不要不急と言えそうです。それよりも、メダンから北上し、港を目指す路線の沿線の方が栄えており、まだ需要がありそうにも見えましたが、現在は貨物営業に限られています。一方で、市バス網が非常に充実しており、各系統5分間隔以内で続々やってくるのには驚きました。Trans Jakartaで導入しているものと同様の大型車を使っています。珍しく市の中心に鉄道駅があるのとは裏腹に、鉄道沿線が町発展から完全に取り残されているのは残念です。

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ビンジャイ着、ここでまた機回し

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ビンジャイ駅
ジャワとはこれまた異なる雰囲気の可愛らしい駅舎でした

久々の初乗り線区、新鮮な気分での列車旅は本当に良いものですね。

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