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事故は忘れたころにやってきます
撮影:Azmie様

既にSNSや各メディア媒体から報じられている通り、1月5日朝6:00頃、バンドン(山)線チチャレンカ駅の西寄り(バンドン寄り)の場内信号付近にてスラバヤ発バンドン行きの上り特急Turangga65列車とパダララン発チチャレンカ行きの下り普通列車Bandung Raya350列車が正面衝突し、350列車側の牽引機(逆エンド運転)の運転台付近及び機関車次位の客車が大きく大破、また客車2両目が脱線横転しています。当ブログをご覧の方ならご承知の通り、正面衝突現場は有名撮影スポットとしても知られるチチャレンカ西側の大カーブ上であり、チチャレンカ駅通過時にチチャレンカ駅信号保安員はもちろん、上り65列車側から、上り方場内信号付近で停車又は低速度で走行している下り列車を目視出来ず、そのままの速度で衝突するという痛々しい事故となってしまいました。




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車体強度の弱く、軽い車両が浮き上がり大破するというのも、
歴代の重大事故と全く同じ構図になってしまいました。
撮影:Azmie様

また、ご承知の通り、バンドン近郊区間であるバンドン~キアラチョンドン~チチャレンカ間は現在、複線化、自動信号化が鋭意進められており、今回、事故の発生したハウルプグール~チチャレンカ間が最後の単線、腕木式信号機区間として残されていました(改良工事は昨年に着工済)。この駅間では、列車検知が出来ないため、両駅の信号保安員が連絡を取り合い手動で信号を切り替えており、このことによってのみ安全が確保されている状態でした(インドネシアではオランダ時代からの名残なのか、タブレットなどの通票がありません)。バンドン近郊区間は時間帯によっては上下それぞれ毎時3~4本が走るくらい高密度区間になっており、起こるべくして起きてしまった事故とも言えます。


チチャレンカ駅付近の様子はこちらの記事をご参照下さい


かつて、インドネシアの鉄道重大事故と言えば、ほとんどが正面衝突と言ってよいほど頻繁に発生していましたが、近年は複線化、自動信号化が進み、ほとんど発生しなくなっていました。また、車両が大破するまでの衝突事故としては、正面衝突ではなく、追突ですが、カンプンバンダンで発生した2009年の事故以来でしょう。ただ、これは運転士の信号見落としであり、今回の事故とは別の類のものです(機関車側の損傷は少なく、日本製の電車の連結部が大破したという点では似ていますが)。在線不検知による事故としては、2010年にプタルカン駅で発生した特急Argo Bromo Anggrekと急行Senja Utama Semaranの衝突事故以来になるのではないでしょうか。この事故は、夜間かつ、豪雨による視認性の悪さ、また駅、機関士との無線連絡に障害が発生したことが起因していると言われています。

今回の事故ですが、所定では65列車と350列車の行き違いは1駅前のハウルプグールでしたが、65列車に10分ほどの遅れが生じたことから、第2事業部輸送指令は交換駅をチチャレンカに変更と指示を出しています。その為、ハウルプグール駅信号保安員は350列車に出発の指示を定時で与えています。本来であれば、この時点でハウルプグール駅からチチャレンカ駅に鉄道電話で連絡が為されるはずですが、両駅間のコミュニケーションに何らかの問題があった模様です。チチャレンカ駅から65列車の為に信号を開通させるにも両駅間の間で連絡が取られるはずですから、それが行われていないというのは不自然です。ただ、それを無視してチチャレンカ駅で65列車に信号を開通させたことが、どうやら、今回の事故の要因になってしまったようです。

350列車はチチャレンカ到着前で20~30㎞/h程度に減速、または場内信号機前で停車していたものと思われ(場内信号で停車していたものと推測)、そこに65列車が50~60㎞/hほどで衝突しました。相対速度がさほど出ていなかったのが、幸いで、乗客からは死亡者は出ませんでした。ただ、350列車の客車1両目(食堂電源合造車:業務用スペース)に乗車していたKAI・KCI職員2名と、牽引罐の機関士、機関助士が客車の間に挟まれ(逆エンドの為、乗り上がってきた客車によってノーズとキャビンが潰れました)、計4名の死者が発生しています。


事故の状況、詳細は報道各社から出ていますのでご参照下さい


衝突時の65列車の走行の様子が防犯カメラに映っています


1月5日のバンドン線バンドン以東はほぼ全面運休
6日から運転再開となりそうです
(再開が長引くと、これもまたペナルティになります)

通常ダイヤでは、終日通してハウルプグールでの交換がほとんどですが、この程度の遅れは状態化(特に新幹線リレーのフィーダー快速が増発されて以降)しており、交換駅変更など日常茶飯事と思われるだけに、どうしてチチャレンカ駅信号保安員が輸送指令通りに65列車をチチャレンカでの交換にしなかったのかが注目されます。とにかくも、何らかの理由で、明らかなミスコミュニケーションが両駅間で発生していますので、小さな不具合を見つけたらまず止めるの認識が無い(列車を不用意に止めること、遅延させることは運輸省からのペナルティになる為)インドネシアの鉄道の落とし穴にはまってしまったと言える事例です。止めることの重要さを、まずは運輸省に叩き込む必要があるでしょう。


わずか3か月ほどの短命に終わってしまいました・・・

ところで、ご覧の通り、事故当該罐のうち350列車側は復刻国鉄色ということで、気になる方が多いかとは思いますが、なんとこれ、残念ながらCC201 77 17 CNということで、昨年10月にBYを全検出場したばかりの4両目の復刻罐でした・・・。CN車がバイト運用中に事故当該になるとは、これまた残念な限りです。損傷具合からして、修繕、復帰はかなり絶望的ではないかと思われます。KAIが長らくリバイバルカラーを拒んできた理由の一つに、暗黒時代を彷彿させるというのがありましたが、よりによってその国鉄色が事故当該とはやるせないですね。リバイバルカラーイベントに後ろ向きにならないことを願いたいものです。また、65列車側はクリスマスラッピング車で、CC206 13 97BDでした。

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これが遺影に・・・
出勤時、単機回送でやってきたので撮影
12月8日

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